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電話で予約を受けてきたお店が、LINE予約へ移そうと考えるとき、最大の不安は「電話をやめたら、電話でしか連絡できないお客様を失うのではないか」という点でしょう。結論から言うと、電話を一気にやめる必要はありません。むしろ、電話とLINEを並べて使う「併用期間」をあらかじめ設計し、終わり方まで決めておくことが、現場の混乱を減らします。この記事では、移行の段取りを、準備・併用期間・お客様への伝え方・つまずきへの備えに分けて整理します。
軸にしているのは売上ではなく業務改善です。電話は、手が離せない時間帯の取りこぼし、聞き間違い、メモの転記漏れ、ダブルブッキングといった手間が発生しやすい受付手段です。LINE予約に寄せることで、それらをどこまで減らせるかを、現実的な範囲で考えます。料金や機能の数字は、公式サイト(lme.jp)で2026-10-09に確認した内容です。契約前には最新の公式情報をご確認ください。
移行を始める前に、先に決めておく4つのこと
段取りの最初は、ツールの設定ではなく、決めごとの整理です。ここが曖昧なまま設定に入ると、後から「電話で受けた分はどうするのか」といった矛盾が出ます。
- 何を電話からLINEへ移すのか:新規の予約だけか、変更・キャンセルまで含めるか。最初は「新規予約」だけに絞るほうが安全です
- 電話を残す条件:当日の急な変更、団体の予約、LINEを使っていないお客様など、電話で受ける場合を言葉で書き出す
- 予約台帳をどこに一本化するか:LINE経由も電話経由も、最終的に同じ台帳に載せる。台帳が2つあるとダブルブッキングの原因になる
- 併用期間の終わりの合図:「いつ・どうなったら電話の受付を縮めるか」を、日付ではなく状態で決めておく
| 決めること | 決めないとどうなるか | 決め方の目安 |
|---|---|---|
| 移す範囲 | LINEと電話で予約の受け方がバラバラになり、お客様が迷う | 最初は新規予約のみ。変更・キャンセルは第2段階で |
| 電話を残す条件 | スタッフごとに「電話は断っていいか」の判断が違う | 当日対応、団体、LINE未利用の3つを基本に書き出す |
| 台帳の一本化 | 同じ枠に二重で予約が入る | 電話で受けた分も、その場でLINE側の枠を押さえる運用にする |
| 終わりの合図 | 併用が延々と続き、手間が増える | 「LINE経由が大半になった」など状態で判断し、見直し日を決める |
4つ目の「終わりの合図」を決めずに併用を始めると、電話もLINEも両方対応する状態が続き、結果的に手間が倍になります。併用期間は、あくまで「移行の途中」であり、ゴールではないことを、お店の中で共有しておいてください。
併用期間の設計|3つのフェーズで電話の比重を下げていく
併用期間は、次の3つのフェーズに分けて考えると、現場も判断しやすくなります。期間の長さはお店の予約の頻度に合わせて決めてください。ここでは日数を固定せず、「どの状態になったら次へ進むか」を基準にします。
| フェーズ | 電話の扱い | LINEの扱い | 次へ進む目安 |
|---|---|---|---|
| 第1段階:並べて置く | これまで通り全件を受ける | 新規予約の入口としてLINEを案内。電話口でもLINEを紹介する | LINEから入った予約を、スタッフ全員が問題なく台帳に反映できる |
| 第2段階:LINEを先に案内 | 電話は「LINEでもお取りできます」と案内しつつ、希望があれば受ける | 新規・変更の主な入口にする。リマインドも運用 | 電話の件数が目に見えて減り、LINEで完結する人が多数派になる |
| 第3段階:電話は例外対応 | 当日対応・団体・LINE未利用に限って受ける | 予約の標準の入口。電話の例外はスタッフが代行入力 | 例外条件が運用で定着し、見直しの周期(半年など)を決められる |
電話口での一言を決めておく
併用期間のいちばんの働きどころは、電話口です。電話を受けた人が毎回「LINEでもお取りできますよ」と案内する言い回しを、全員で揃えておくだけで、移行は静かに進みます。無理に勧める必要はありません。「ご希望でしたらこのまま電話でお取りします」と添えれば、電話を望むお客様を突き放さずに済みます。案内の一言は、紙にして電話の横に貼っておくと、新しいスタッフでも迷いません。
電話で受けた予約も、その場でLINE側の枠を押さえる
併用期間のミスで最も多いのは、電話で受けた予約を台帳に書き忘れ、同じ枠にLINEから予約が入ってしまうことです。電話を受けたら、通話が終わる前にLINE側(または共通の台帳)の枠を先に押さえる、という順番を決めておいてください。スタッフが交代制の場合は、引き継ぎ用に「電話で受けた分の記入欄」を台帳の脇に作っておくと、書き漏れを減らせます。
お客様への伝え方|相手別に、言い方と手段を変える
お客様への案内は、一斉に同じ文面を出すより、相手の使い方に合わせて変えるほうが伝わります。新しい予約方法は、「便利になりました」よりも「こうすれば簡単です」という操作の案内から入るほうが、年代を問わず抵抗が少なくなります。
| お客様のタイプ | 主な接点 | 伝え方の例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| すでにLINEで連絡を取っている人 | LINEのトーク | 予約が増えた旨と、予約の入口をメッセージで案内 | 一度に長文を送らず、ボタンやリンクは1つに絞る |
| 電話派の常連さん | 電話・来店 | 来店時と電話の最後に、口頭で「LINEでもお取りできます」と紹介 | 強制はしない。「電話でも変わらずお取りします」を必ず添える |
| 初めてのお客様 | Webサイト・SNS・店頭 | 予約方法の案内にLINE予約を追加 | 電話番号も併記して、選べるようにしておく |
| 高齢の方・LINE未利用の方 | 電話・来店 | 電話の予約を継続。代行入力でお店側がLINE枠に反映 | LINEの導入を求めない。例外として運用に組み込む |
案内文の組み立て方(文面例)
文面は短く、次の3点だけを含めるとまとまります。(1) 何が変わったか、(2) 電話も引き続き使えるか、(3) 予約するときの最初の一歩。たとえば次のような構成です。
- 「ご予約の方法が増えました。LINEからも、24時間いつでもご予約いただけます」
- 「これまでの電話でのご予約も、変わらず承っております」
- 「LINEからのご予約はこちらのボタンから」
「24時間いつでも」のような表現は、予約の受付がLINE側で自動化されている前提で使ってください。実際の運用に合わせて、受付時間や返信の目安を書き換えるのが前提です。また、キャンセルや変更の連絡手段も、同じ案内の中で一緒に伝えておくと、電話とLINEが混在することで生まれる「どこに連絡すればいいのか」という迷いを避けられます。キャンセル連絡の事前連絡の仕組みは、予約の無断キャンセル・直前キャンセルを減らす方法|事前連絡の仕組みと、LINE公式アカウント+エルメのリマインドが向く条件も参考にしてください。
エルメの予約機能で確認しておくこと(2026-10-09時点)と、つまずき対処
エルメの公式サイトでは、予約の機能として、サロン・面談予約、レッスン予約、イベント予約、リマインド配信が紹介されています。Freeプランの範囲は、サロン・面談予約が個人タイプ・スタッフタイプ各1つまで、レッスン予約のカレンダーが1つ、イベント予約は決済なしで2つまで、と記載されていました。Standardはレッスン予約のカレンダー3つ、Proは10個までです。お店の予約の形(担当者指名があるか、時間枠か、日付のみか)で、どの予約機能が合うかは変わります。この選び方は、サロン・店舗がエルメで予約・来店フォロー・リピート配信を組むときの機能の選び方で整理しているので、あわせてご覧ください。
公式マニュアルの予約管理カテゴリには、「各種予約機能の使い分け」「予約の開始日・締め切り日」「一人当たりの予約上限数」「予約内容の自動送信」「予約できない時の対処法」といった項目が並んでいます。電話からの移行では、特に次の使い分けを確認すると役立ちます。
| 移行で困りがちな場面 | マニュアルで確認したい項目 | 公式で確認できなかった点 |
|---|---|---|
| まだ受けたくない先の日程まで予約が入る | 予約の開始日・締め切り日 | 当日予約の締め切りを、時刻単位でどこまで細かく設定できるか |
| 1人で何枠も取られてしまう | 一人当たりの予約上限数 | 電話予約分を上限に数える方法 |
| 予約内容をお客様が後で確認できない | 予約内容の自動送信 | 送信文面の細かなカスタマイズ範囲 |
| お客様が予約できないと言う | 予約できない時の対処法 | 原因ごとの切り分けの全パターン |
なお、サロン予約のマニュアル一覧だけでは、キャンセルの扱いや予約前のリマインドの詳細は確認できませんでした。リマインドは別カテゴリで扱われているため、導入前に実際の画面で挙動を確かめてください。また、フリープランのエルメ経由の配信は月1,000通までなので、予約確認やリマインドを併用期間に全員へ送ると、上限に近づく可能性があります。上限は2026-10-09時点の公式情報です。
つまずき1:電話予約をLINE枠に反映し忘れる
対処は、電話を受けた人が通話中・直後に必ず枠を押さえるというルールを徹底することと、1日の終わりに「電話で受けた件数」と「台帳の件数」を合わせる2分の確認を入れることです。確認を担当者の個人技にせず、閉店作業のチェック項目として書いておきます。
つまずき2:お客様がLINE予約の操作でつまずく
操作が分からない人は、電話で聞いてきます。そのときに「操作方法を口頭で案内する」ことより、「お店が代わりに入力する」選択肢を先に出してください。操作の案内に時間を使うと、電話の手間が減るどころか増えます。代行入力で済ませた件数を記録しておくと、操作が分かりにくい箇所の見直しに使えます。
つまずき3:併用が終わらない
あらかじめ決めた「次へ進む目安」を、月に一度見直す日を作ってください。見直しの日がないと、併用は「とりあえず今のまま」で続きます。見直しでは、電話の件数、代行入力の件数、LINE予約でのトラブルの3点を並べて眺めれば十分です。面談予約を例に、日程調整の往復を減らす考え方は面談・相談の日程調整で何度もやりとりが往復する問題の解き方|日程の決め方の選択肢と、LINE公式アカウント+エルメの面談予約が向く条件にあります。
活用例(架空の設計例)
以下は、実在のお店の事例ではなく、考え方を示すための架空の設計例です。成果の数字は含めていません。
席数の少ない小さな食事処を想定します。これまで予約はすべて電話で、ランチの忙しい時間帯は電話に出られず、折り返しも手間でした。オーナーは、第1段階として「新規予約のみLINE」と決め、店頭の案内とお品書きの隅にLINE予約の入口を載せました。電話では「LINEでもお取りできます」と一言添える運用にし、ホールのスタッフ全員で言い回しを揃えました。電話で受けた予約は、レジ横の台帳に書くと同時に、LINE側の枠も押さえる決まりにしています。
数週間後、LINEから入る予約が増えて、スタッフがLINE予約の操作に慣れてきたら第2段階に進みます。変更とキャンセルもLINEで受け付け、電話は「当日の急な変更」「団体のご予約」「LINE未利用のお客様」に限ると案内を変えます。お年寄りの常連さんには、これまで通り電話で受け、お店側が代行入力します。この例のポイントは、LINEを使えない人を切り捨てず、例外として運用に組み込んでいることです。
私の見立て
- 併用期間は「いつまで」より「どの状態になったら」で決める。日付で区切ると、現場の実態とずれて混乱しやすい
- お客様への案内は「電話も引き続き使えます」を必ず添える。選択肢を残すことが、結局は移行をいちばん静かに進める
- 電話予約のLINE枠への反映漏れは、仕組みで防ぐ。個人の注意力に頼らず、閉店作業の確認項目に入れるのが現実的
まとめ
電話中心のお店がLINE予約へ移すときの段取りは、(1) 移す範囲・電話を残す条件・台帳の一本化・終わりの合図を先に決め、(2) 併用期間を3つのフェーズに分け、(3) お客様のタイプ別に伝え方を変え、(4) 電話予約の反映漏れなどのつまずきに備える、という順番です。電話をやめることが目的ではなく、手が離せない時間の取りこぼしや転記の漏れを減らすことが目的です。まずは、自分のお店で「電話を残す条件」を3つ書き出すところから始めてみてください。エルメは無料プランから触れるので、予約の流れを実際の画面で確かめる最初の一歩に向いています。
構築代行のご案内(30万円〜・税別)
「電話から移す範囲の線引きから相談したい」「予約の設定と、併用期間の運用ルールをまとめて任せたい」という場合は、LINE公式アカウント+エルメの構築と運用設計を代行するご案内があります。30万円〜(税別)で、予約の流れの設計、設定、運用ルールの文書化までご相談いただけます。詳細は 構築代行のご案内ページ をご覧ください。