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工務店やリフォーム会社の仕事は、問い合わせから引き渡し、その後の点検まで、一件が数か月から数年にわたって続きます。そのぶん連絡も長く、現場が動き出すと「誰がどの現場のお客様に何を伝えたか」が分からなくなりやすい業種です。この記事では、LINE公式アカウントとL Message(エルメ)を、案件の時間の流れ(相談、現地調査、見積、工事中、引き渡し、点検)に沿って使い分ける方法を整理します。目的は売上を上げることではなく、連絡の漏れ・重複・属人化を減らすことです。
料金やプランの数字は、2026-10-09時点で公式サイトに表示されている内容を確認したものです。見積金額の合意や契約など法的な意味を持つ手続きについては、一般論にとどめ、どの方法で行うかは各社で確認していただく前提にしています。
案件の時間軸で連絡を切り分ける
業種によっては、連絡を「お客様の状態」で分けるのが自然です。工務店・リフォームの場合は、現場という物理的な場所と、工程という時間があるので、時間軸で整理するとミスの出る場所が見えます。次の表は、フェーズごとの連絡とLINEの使いどころの一例です。
| フェーズ | 主な連絡 | LINEの使いどころ | LINEに載せない方がよいもの |
|---|---|---|---|
| 相談受付 | 相談内容の聞き取り、現地調査の日程 | フォームで要望を聞く、予約機能で日程を決める | 概算の金額合意 |
| 現地調査 | 前日の案内、当日の到着連絡 | リマインドで前日に案内、当日は1:1チャット | 現場で判断すべき技術的な結論 |
| 見積・検討 | 見積の送付案内、質問への回答 | 送付したことの案内、質問の受け口 | 見積の承認そのもの、契約の成立 |
| 契約後・着工前 | 着工日の連絡、近隣挨拶の案内 | 日程の通知、確認事項の案内 | 契約書や図面の確定版の取り交わし |
| 工事中 | 工程の連絡、変更・順延の連絡 | 現場タグで絞り込んだ配信 | 追加工事の金額合意 |
| 引き渡し | 引き渡し日の連絡、書類の案内 | 日程の通知 | 保証書など書面の授受 |
| アフター | 点検の案内、不具合の連絡受付 | 点検時期の案内、写真つきの不具合連絡 | 不具合の原因判断・責任の判断 |
右端の列は、LINEの能力の問題ではなく、「記録が正式に残るべきもの」「専門的な判断が必要なもの」を示しています。見積の承認や契約、追加工事の合意といった法的な意味を持つ事柄を、どの手段で行えば有効になるかは、法令や自社の約款、契約書の定めによります。この記事では判断せず、一般論として「LINEは連絡と案内に使い、正式な取り交わしは別途の方法で」という整理にとどめます。
現地調査の予約:現場にはお客様の都合と職人の都合がある
現地調査は、担当者がその時間に動けるかだけでなく、お客様が立ち会えるか、建物の鍵や駐車場はどうかなど、条件が重なる予約です。エルメの公式マニュアルでは、予約機能がサロン予約(個人タイプ・スタッフタイプ)、レッスン予約、イベント予約に分かれて説明されています。以前あったカレンダー予約は2025年3月末に廃止と公式に記載されているので、古い解説を鵜呑みにしないようにしてください。
調査担当が複数いるならスタッフタイプ、一人なら個人タイプ
調査に出る人が社長一人という会社なら個人タイプ、調査担当が複数いるならスタッフタイプが候補です。スタッフタイプでは担当者ごとのシフトやコース別の担当設定ができ、Googleカレンダー連携も使えると公式にあります。現場の予定をGoogleカレンダーで共有しているなら、重なった時間に予約が入る事故の予防につながります。
予約前に聞いておく項目を決める
公式マニュアルには、予約受付時に氏名や電話番号などを入力してもらう「予約受付時入力項目」と、申し込み前に表示される「注意事項・利用規約」の設定があるとされています。現地調査なら、次のような項目を予約時に聞いておくと、当日の行き違いが減ります。
- 調査してほしい場所(キッチン、浴室、外壁など)と、気になっている症状
- 建物の種類と築年数のおおよそ(戸建て、マンション等)
- 当日の立ち会い者と、連絡のつく電話番号
- 駐車スペースの有無、集合住宅の場合は管理規約上の確認事項の有無
- 現状の写真が撮れるなら、事前に送ってほしい旨
注意事項の欄には「調査の結果、その場で金額をお約束するものではありません」といった趣旨を入れておくと、現地での食い違いを避けられます。ただし文面は一般的な考え方であり、実際の文言は自社で決めてください。
現状写真はフォームの添付が使える
フォームにはファイル添付の設問があり、画像・動画・音声・PDFなどを選べ、上限は10MBと公式マニュアルにあります。リフォームの相談では、劣化の箇所の写真があるだけで、現地調査の準備が変わります。1:1チャットからも、画像はpng/jpgで10MBまで、1回に送れるメディアは最大5つと公式にあります。現場の写真を何枚も送ってもらう場合は、この上限を前提に案内してください。
予約がないと日程調整の往復が増える点は、面談・相談の日程調整で何度もやりとりが往復する問題の解き方|日程の決め方の選択肢と、LINE公式アカウント+エルメの面談予約が向く条件でも触れていますが、現地調査では上記のように事前の確認項目の設計が加わります。
工程の連絡:「現場タグ」で宛先を間違えない
工事中の連絡で一番こわいのは、別の現場のお客様に工程変更を送ってしまうことです。LINEの配信は取り消せません。だからこそ、現場単位で宛先を絞れる設計が重要です。
現場ごとにタグを持つ
お客様が友だち追加された時点、または契約が決まった時点で「現場名」のタグを付けます。エルメには、タグなどの条件で配信先を絞り込む機能があります。リマインド配信の説明でも、タグ、友だち名、友だち登録日、友だち情報、対応ステータスなどで対象を絞れるとされています。一斉配信の絞り込みも同様の考え方で使えます。
連絡を緊急度で3つに分ける
| 種類 | 例 | 送り方 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 定例 | 週ごとの工程のお知らせ、今週の作業内容 | 現場タグで絞り込んだ配信 | 送信前に対象人数と宛先タグを確認する |
| 変更 | 雨天順延、資材の納期遅れ、作業日の変更 | 1:1チャット、または現場タグの絞り込み | 新旧の日付を並べて書き、対応のお願いがあれば明記する |
| 緊急 | 近隣からの連絡、事故・破損に関わること | 電話を第一に。LINEは補助 | LINEだけで済ませず、必ず口頭でも伝える |
変更連絡と緊急連絡は、LINEの返信を待たずに電話を優先する、というルールを先に決めておくと迷いません。既読状況は、エルメ側では確認できないと1:1チャットの公式マニュアルにあります。「送ったから伝わった」とは考えない運用が安全です。
配信ミスを減らす確認手順は、「LINEの一斉配信で送り間違い・誤字・宛先違いを防ぐ確認手順|配信前チェックの作り方と、エルメの配信予約・予定配信者数の使いどころ」に具体的に書いています。現場連絡では、とくに予定配信者数を見る習慣が役立ちます。
写真つきの工程報告は、ルールを決めて
1:1チャットで工事中の写真を送る場合、お客様の住まいが写り込みます。近隣の方や他のお客様の情報が写っていないか、送る前に確認するルールを置きます。写真の扱いの方針は、社内の個人情報の取り扱いルールに合わせて決めてください。
アフター点検の案内:長いスパンの「忘れ」を仕組みにする
引き渡しから半年後、1年後、2年後といった点検は、現場が動いている間は後回しになりやすい仕事です。人の記憶に頼るのではなく、「点検予定月」をデータとして持っておく設計にします。
点検予定月をタグで持ち、月初に絞り込む
引き渡しが終わった段階で、「点検予定2027-04」のように月単位のタグを付けます。毎月の月初に、当月のタグの人を絞り込み、点検日程の案内を送ります。この方法は、ステップ配信の最長期間などの仕様に左右されないのが利点です。
エルメにはステップ配信もあり、あらかじめ作ったメッセージを一定のタイミングで届けられます。ただし、点検のように1〜2年先まで続けられるかどうかについては、確認できた公式ページに記載を見つけられませんでした。長期の配信を前提にするなら、導入前に公式の説明か、無料プランでの動作確認で確かめてください。
点検の日程調整には予約機能を再利用
点検の案内を受けたお客様に、そのまま予約機能から日程を選んでもらえば、電話での調整が減ります。予約をきっかけにリマインドを設定でき、「終了日の○日前の○時」または「○時間○分前(最大23時間59分前)」で送れると公式にあります。無断キャンセルや日時の勘違いを減らす考え方は、予約の無断キャンセル・直前キャンセルを減らす方法|事前連絡の仕組みと、LINE公式アカウント+エルメのリマインドが向く条件に詳しく書きました。
不具合の連絡の受け口を作る
点検以外でも、お客様から「ここが気になる」という連絡は来ます。フォームで場所・症状・写真を受け付ければ、電話で聞き取る手間が減り、担当者に渡す情報も揃います。回答はスプレッドシートと近いタイミングで同期できると公式にあります。原因の判断や費用負担の判断はLINEで行わず、「内容を確認して担当から連絡します」と返すところまでを決めておきます。
活用例(架空の設計例)
以下は実在の会社の事例ではなく、考え方を示すための架空の設計例です。成果の数字は載せません。社長と職人数名、事務員一名で、水まわりを中心にリフォームを請け負う小さな会社を想定します。
- 入口:友だち追加のあいさつで「相談したい」「点検の相談」「工事中の連絡」を選んでもらい、タグを付ける
- 現地調査:スタッフタイプの予約で枠を管理し、予約受付時の入力項目に場所・症状・立ち会い者を入れる。前日にリマインドで持ち物や駐車の案内を送る
- 見積後:見積書は別の方法で送り、「送りました」とLINEで一言案内する。承認や契約は書面など所定の方法で行う
- 工事中:契約時に現場タグを付け、週1回の定例だけを絞り込み配信にする。変更・緊急は電話を優先
- 引き渡し後:点検予定月のタグを付け、月初に絞り込んで日程調整の案内を送る
- 記録:1:1チャットのメモに現場の特記事項を残し、担当が代わっても読めるようにする
事務員が休んだ日でも、現場タグと対応ステータスが残っているので、誰が見ても「いま何が止まっているか」が分かる、というのがこの設計のねらいです。
つまずきやすい点と運用ルール案
- タグの付け忘れ:現場名のタグが付いていないと絞り込みから漏れる。契約時のチェックリストに「現場タグを付ける」を入れる
- 現場が終わったあとのタグ:工事中のタグは引き渡し後に外し、点検予定月のタグへ切り替える
- 職人が個人LINEでお客様とやり取りする:窓口が二つになる。連絡は公式アカウントに集約するルールを事前に伝える
- 写真の上限:1回5つ、画像10MBまで。送ってほしい写真の枚数と撮り方を案内文に書く
- Freeのチャット履歴は180日:点検まで年単位で残したい情報は、メモや友だち情報へ書き出す
- 有料から無料への戻し:ダウングレードはできず、解約後に接続解除して再接続するとデータが削除される、と公式にある。試す段階から、残したい情報の控えを取る
現場ごとの連絡は担当が散りやすいので、見落としを防ぐ考え方は士業事務所(税理士・行政書士など)のLINE連絡を整える|相談予約・書類案内・期限リマインドの切り分けの期限管理の考え方も、点検時期の管理に応用できます。
プランの目安
| 項目 | Free | Standard | Pro |
|---|---|---|---|
| 月額(税込) | 0円 | 10,780円 | 33,000円 |
| 配信数(エルメ) | 1,000通/月 | 無制限 | 無制限 |
| 予約(サロン予約) | 個人1・スタッフ1(コース2・担当2) | 各3(コース・担当は無制限) | 各10(コース・担当は無制限) |
| フォーム | 3つまで | 無制限 | 無制限 |
| 担当者管理 | なし | 管理者+10名 | 無制限 |
数字は2026-10-09時点でエルメ公式トップの料金表を確認したものです。契約は自動更新で、日割りの返金はないと整理されています。現場タグの運用はタグ機能(全プランで表示あり)で始められますが、フォーム3つの上限やリッチメニュー2つの上限は、調査・不具合受付・アンケートと用途を増やすとすぐ届くので、無料プランで試しながら必要数を数えてください。LINE公式アカウント側にも別の通数枠があり、公式ページの表示ではコミュニケーションプランが月200通、ライトプランが5,000通(月5,000円・税別)、スタンダードプランが30,000通(月15,000円・税別)とされています(2026-10-09に確認した表示。契約前に最新を公式で確認してください)。
私の見立て
- 工務店・リフォームのLINE活用は、「現場名のタグ」を契約時に必ず付ける運用ができるかが成否を分けます。機能の多さより、付け忘れを防ぐ手順のほうが重要です。
- 変更と緊急は電話優先、LINEは案内と記録の補助、と割り切ったほうが事故が少ないと考えます。既読が見えない前提で運用してください。
- アフター点検は、ステップ配信の長期運用に賭けず、点検予定月のタグと月初の絞り込みという、単純で確かめやすい方法から始めるのがおすすめです。
まとめ
工務店・リフォーム会社のLINE連絡は、フェーズごとに目的が変わります。現地調査は予約機能と事前の確認項目、工事中は現場タグによる絞り込みと緊急度の分類、アフターは点検予定月のタグと予約機能、という組み合わせで、漏れと宛先ミスを減らせます。見積の承認や契約などの正式な取り交わしは、LINEに任せず所定の方法で。公式で確認できなかった点(ステップ配信の長期運用、LINE側の通数の細かい数え方)は、導入前に公式で確かめてください。
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