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クリーニング店や靴・かばん・時計・衣類の修理店は、お客様の「物」を一度預かって、あとで返す仕事です。注文を受けて即日渡せる商売と違い、預かった瞬間から「いま誰のどの品がどの工程にあるか」「いつ連絡するか」「いつまでに取りに来てもらうか」という3つの連絡が、ずっと頭の片隅に居座ります。この記事では、その3つ(受付番号の案内・仕上がり連絡・預かり期限のお知らせ)を、LINE公式アカウントとエルメ(L Message)でどう整えるかを、業務改善の目線で整理します。
先にお断りしておくと、エルメは店の預かり台帳や在庫管理システムではありません。受付票・台帳(紙でも表計算でも)が正で、LINEは「お客様に知らせる窓口」という役割分担にします。そのうえで、連絡の漏れ、言った言わない、期限切れの放置といった手間とミスを減らすための設計を考えます。料金や機能の記述は2026年10月9日時点で公式サイトを確認した範囲で、契約前には必ず公式で最新を確認してください。
預かり物の商売で連絡が崩れやすい3つの場所
小さな店で起きがちなつまずきを、先に3つに分けます。自店でどこが一番痛いかによって、最初に整える順番が変わります。
- 入口(受付番号):お客様が「預けたのは自分のどれか」を店に伝えられない。電話で「先週出したコートです」と言われて、台帳を探す時間が毎回かかる。
- 出口(仕上がり連絡):仕上がったことを電話や葉書で知らせているが、留守で何度もかけ直す。修理では「見積り金額が変わった」「直せなかった」など、伝え方に気を遣う連絡が混ざる。
- 滞留(預かり期限):取りに来ないお客様の品が棚に残り続け、スペースを圧迫する。声をかけるタイミングが担当者の気分と記憶に依存している。
この3つは「誰に・何を・いつ」を決めておけば、かなりの部分をルール化できます。同じ「事前の案内を送り忘れない」という発想は、来所前の案内(場所・持ち物・注意事項)の送り忘れをなくす方法|案内の出し方の選択肢と、LINE公式アカウント+エルメのステップ配信・リマインドが向く条件でも整理していますが、本記事は「来る前」ではなく「預けたあと」の連絡に絞ります。
LINEに任せる範囲と、台帳に残す範囲
| 項目 | 正とする場所 | LINEの役割 |
|---|---|---|
| 受付番号・品目・金額・預かり日 | 受付票と店の台帳 | お客様に番号を知らせる/番号を送ってもらう |
| 仕上がり・納品予定日 | 台帳 | 仕上がったと知らせる |
| 見積り変更の了承 | 台帳に了承の記録を残す | 相談のやりとりの場(記録は台帳にも転記) |
| 引き取り期限 | 台帳 | 期限が近づいたと知らせる |
| お客様の氏名・住所 | 台帳(必要最小限) | LINE上には載せない運用を基本にする |
お客様の個人情報をLINEで受け取る場合の考え方は、別記事の別記事「お客様の住所・電話番号をLINEで受け取るときのルール作り|聞く項目・保管場所・消し方の決め方」が参考になります。預かり物の連絡では、氏名の代わりに受付番号で呼ぶことで、文面に個人情報を書かずに済むのが大きな利点です。
受付番号を軸にして、LINEとの紐付けを決める
番号の付け方は「声に出して通じる」ことを優先する
受付番号は、台帳の整理のためだけでなく、お客様がLINEで打ち込む/読み上げるものでもあります。桁数が長い、アルファベットと数字が混ざる、0とOが紛らわしい、といった番号は聞き間違いのもとです。たとえば「月の2桁+通し番号3桁」のように、短く、数字だけで、日付が想像できる形にしておくと、問い合わせのときにお客様も店も確認しやすくなります(これは一例で、店の運用に合わせて決めてください)。
預けた物が複数点の場合は、親番号(受付全体)と枝番(1点ごと)を分けると、「ワイシャツ3点のうち1点だけ仕上がりが遅れる」という場面でも、どの品の話かが明確になります。
受付時のLINE導線は「友だち追加→番号送信」の2ステップ
受付票に友だち追加用のQRコードを印字(またはカウンターに掲示)し、「追加してこの番号を送ってください」と一言添える運用が、最も軽く始められます。LINE側では、番号を受け取ったら、その友だちに「預かり中」といったタグを手で付けておきます。エルメのタグは、あとで配信先を絞り込むための目印として使える機能です。
友だち追加の入口をどう作り、どこから来たかをどう分けて数えるかは、公式の考え方を整理した記事(本ブログの友だち追加の入口の記事)が詳しいので、ここでは立ち入りません。
受付時の説明に入れる項目
| お客様に伝えること | 伝え方の例(文面は一般的なもの) | 理由 |
|---|---|---|
| 受付番号 | 「受付番号は〇〇です。仕上がりのご連絡やお問い合わせの際にお知らせください」 | 番号で呼べば、個人名を文面に出さずに済む |
| 連絡の手段 | 「仕上がりはLINEでお知らせします。電話をご希望の方はお申し付けください」 | LINEが使えない・見ないお客様を取りこぼさない |
| 仕上がり予定 | 「目安は〇日です。混み具合で前後します」 | 予定と実際のズレの苦情を減らす |
| 引き取り期限 | 「仕上がり後〇日を目安にお引き取りください」 | 期限の扱いは店の規約に基づく(後述) |
ここで大事なのは、LINEを使わないお客様を最初から別ルートに分けておくことです。高齢のお客様や、普段LINEを開かない方には、電話や紙の控えでの連絡を残します。LINEは「使える方の連絡の手間を減らすもの」で、全員に強制するものではありません。
仕上がり連絡を、普通の仕上がりと「相談が必要な仕上がり」に分ける
仕上がり連絡は、実は性質の違う2種類が混ざっています。ここを分けておかないと、定型文を送るつもりが、込み入った相談を一斉配信の流れに乗せてしまう危険があります。
A. ふつうの仕上がり連絡(定型で足りるもの)
台帳上で「完了」にした品について、「受付番号〇〇のお品物が仕上がりました。営業時間は〇時〜〇時、定休日は〇曜日です。お引き取りの際は受付票をお持ちください」といった内容を送ります。個別に1件ずつ送る場合は1:1チャットで、まとめて知らせたい場合は「仕上がり」タグで絞り込んだ配信を使います。
エルメには、タグを付けた友だちへ絞り込んで配信する手順が公式マニュアルにあります。配信先の初期値が「全ての友だち」になっているため、絞り込みの設定を忘れると全員に届いてしまう点と、配信前に表示される予定配信者数が想定とかけ離れていたらタグの設定ミスを疑う、という点が注意として書かれています。これは仕上がり連絡のような「特定のお客様にだけ送る」運用では、そのまま確認手順に使えます。送り間違いを防ぐ配信前チェックは、LINEの一斉配信で送り間違い・誤字・宛先違いを防ぐ確認手順|配信前チェックの作り方と、エルメの配信予約・予定配信者数の使いどころを参照してください。
B. 相談が必要な仕上がり(定型にしないもの)
修理の場合、次のような連絡は定型の一斉配信にせず、1:1チャットで個別に、記録を残しながら行うことをおすすめします。
- 当初の見積りより金額が上がりそうなとき(了承を得てから作業を進める)
- 部品の取り寄せで納期が延びるとき
- 修理が難しい、または別の方法の提案が必要なとき
- 染み抜きなどで「落ちきらなかった部分」があるとき
- 預かったときと状態が異なる点について説明が必要なとき
こうした連絡は、文面そのものよりも「誰が、いつ、どう伝え、お客様が何と答えたか」の記録が重要です。LINEのやりとりは、エルメの無料プランではチャット履歴の閲覧・検索期間が180日間とされています(有料プランは制限なしと公式の料金表にあります)。了承の記録は、LINEの履歴だけに頼らず、台帳にも「〇月〇日LINEで了承」と転記するルールにしておくと安心です。履歴期間の考え方は、本ブログの記事(チャット履歴180日の壁)でも触れています。
なお、ご自店の作業の責任範囲や、補償・賠償に関わる判断は、この記事では扱いません。免責の掲示や受付時の規約は、各自で内容を確認して決めてください。
預かり期限のお知らせを「いつ・何回・どんな温度で」送るか
取りに来ないお客様への連絡は、頻度と言葉選びで印象が大きく変わります。期限そのものの扱い(保管期間、期限後の対応、費用の請求など)は、店の規約や取引の内容、関係する法令によって異なり得ます。この記事は一般的な運用の整え方に留め、期限後の処分や権利関係の判断は扱いませんので、各自で専門家や所管窓口に確認してください。
リマインドの仕組みでできること(公式マニュアルの範囲)
エルメのリマインド配信は、あらかじめ「終了日」を決めたうえで、その終了の〇日前の〇時に送る、あるいは終了の〇時間〇分前に送る、といった設定ができます(相対指定は23時間59分前までが上限)。終了日はリマインドごとに設定するため、同じリマインドを別の対象に使い回せるとも説明されています。また、配信対象はタグや友だち登録日、メッセージ確認状況などで絞り込めます。リマインドの開始・停止は「エルメアクション」で呼び出せ、タグの付与や削除も同じ仕組みでできます。
一方で、リマインド配信がプランによる制限を受けるかについて、確認したマニュアルページには記載がありませんでした。料金表上は、リマインド配信は全プランで利用可能と書かれています。プランごとの細かな差は契約前に公式で確認してください。
お知らせの設計案(3段階)
| タイミング | 目的 | 文面の方針 | 台帳への反映 |
|---|---|---|---|
| 仕上がり当日 | 仕上がりと営業時間の案内 | 受付番号・営業時間・持ち物のみ。急かさない | 「連絡済」の日付を記入 |
| 仕上がりから約1週間後 | やわらかい再案内 | 「お忘れではないですか」ではなく「いつでもお引き取りいただけます」と添える | 「再案内済」を記入 |
| 期限の少し前 | 期限の事実と相談窓口 | 期限の日付と、難しい場合の相談方法を併記。一方的な通告の文面にしない | 期限前連絡の日付を記入 |
日数は一例です。繁忙期は棚が埋まりやすいので短く、閑散期は長く、など店の事情で調整します。大切なのは、「何日目に誰が確認するか」を決めておき、LINEの自動リマインドは「確認の抜けを減らす補助」と位置づけることです。自動で送られたとしても、返信が来たときの対応は人が行います。
通数の見積もりを先にやっておく
エルメの無料プランは、エルメ側の月間配信数が1,000通までです(2026年10月9日時点の公式料金表)。一方、有料のスタンダード(月額10,780円・税込)とプロ(月額33,000円・税込)では、エルメ側の配信数は制限なしと記載されています。ただし、LINE公式アカウント側の配信数は別の契約・上限があることも公式に注意書きがあります。1日あたりの仕上がり連絡が多い店では、「連絡対象件数×段階の数」で概算し、月の合計が上限を超えないか確認しましょう。数え方の基礎は、LINE公式アカウントのメッセージ数の数え方と、超えないための考え方|吹き出し・Push・Replyの違いをご覧ください。
活用例(架空の設計例)
ここからは、実在の店舗の事例ではなく、設計のイメージをつかむための架空の設計例です。成果の数字は載せていません。
設定A:夫婦2人の住宅街のクリーニング店
- 受付票に友だち追加QRを印字。受付時に「追加して番号を送ってください」と声をかける。
- 番号を受け取ったら「預かり中」タグを付ける。電話派のお客様はタグを付けず、台帳に「電話」と記す。
- 仕上がった日の閉店後に、台帳の「完了」分を確認し、該当のお客様へ1:1で連絡。慣れてきたら「仕上がり」タグ付きの方に絞って配信予約。
- 引き取りが済んだらタグを外す(エルメアクションで外す設計も可)。
- 期限前の再案内は、リマインドで1回だけ。それ以降は店主が電話で個別に判断。
設定B:靴とかばんの修理を1人で行う工房
- 見積りの連絡は必ず1:1チャット。金額・期間・了承の有無を台帳に転記。
- 仕上がり連絡の文面にはビフォーの状態を口頭で説明した旨を一行だけ添え、写真の送付は店の判断(写真の取り扱いは個人情報の観点で慎重に)。
- 「相談中」「見積り待ち」「仕上がり」「引き取り済」の4つのタグで状態を分け、絞り込み配信の誤送信を防ぐ。
- タグの数が増えすぎないよう、半年に一度、不要なタグを棚卸しする(命名ルールは本ブログのタグ整理の記事を参照)。
つまずきと対処
| つまずき | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 違うお客様に仕上がり連絡を送りそうになった | タグの付け忘れ・付け間違い | 配信前に予定配信者数と宛先タグを2人目が確認する |
| お客様がLINEを見ず、期限が過ぎた | LINE以外の連絡手段を決めていなかった | 受付時に連絡手段を聞き、台帳に残す。LINEが未読なら電話に切り替えるルールを置く |
| 番号を間違えて送ってくる | 桁数が多い・紛らわしい | 番号の体系を短く統一し、台帳側で氏名と品物を二重に確認してから返信する |
| 履歴が見られなくなった | 無料プランの180日の制約 | 了承などの重要事項は台帳にも転記する |
私の見立てとまとめ
私の見立て(3点)
- 順番は「受付番号→仕上がり連絡→期限」:期限のお知らせから始めると、肝心の番号の紐付けがなく、宛先を絞れません。入口から整えるほうが、あとが楽になるはずです。
- 自動化できるのは「定型」の部分だけ:相談が必要な修理の連絡まで自動に寄せると、かえってトラブルの種になります。定型と個別の線引きが運用の肝です。
- LINEは台帳の代わりにならない:台帳が正で、LINEは窓口。この前提が崩れると、履歴の期間切れや宛先ミスで困ります。
まとめ
預かり物の商売の連絡は、受付番号という共通の言葉を持つことで、電話の往復や台帳探しをかなり減らせます。仕上がり連絡は定型と相談に分け、預かり期限のお知らせは回数と言葉選びを決めておく。エルメの無料プランは、配信1,000通/月・フォーム3つ・リッチメニュー2つ・チャット履歴180日という枠で、小さく試せます。まずは受付票へのQR印字と、「預かり中」タグ1つから始めてみてください。
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