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「来月、15人くらいで貸切にできますか?」。平日の営業が一段落したころ、お店のLINEにこんな一通が届きます。返信すると「日程は第3金曜か土曜あたりで、まだ決まっていません」。さらに数時間後に「予算は一人5,000円くらいで考えています」。この三つがばらばらに届くたびに、予約台帳を開き直し、空きを確認し、また質問を返す。宴会・貸切の相談は、一件ごとに何往復もしやすい連絡です。
この記事では、そうした「宴会 予約 問い合わせ」の聞き直しを減らすために、エルメ(L Message)のフォームを「質問の分岐」付きで作り、「貸切 受付」の最初の段階で人数・予算・日程をそろえる考え方と手順をまとめます。目指すのは、お客様を機械的に処理することではなく、店側が見積もりや可否の判断に入る前の「宴会 ヒアリング」を一回で済ませることです。なお、エルメの機能は2026年10月9日時点で公式サイト(lme.jp)のマニュアルに書かれている範囲だけを使い、書かれていない部分は「公式で確認できませんでした」と明記します。
「何往復もする宴会相談」の現場で起きていること
飲食店の貸切・宴会の相談は、通常の予約確認と性質が違います。席数や営業日が決まっている通常予約と違い、貸切は「その日の営業を止めるかどうか」「通常のお客様の予約をどうするか」まで絡むため、店長やオーナーの判断が要ります。判断には材料が要ります。ところがお客様は、LINEのトークで思いついた順に書きます。
- 最初の一通は「できますか?」だけで、人数も日程も書かれていない
- 人数は「15人くらい」と幅があり、直前で増減する可能性が示されていない
- 日程は「第3金曜か土曜」のように候補が複数で、時間帯(開始・終了)は未定
- 予算は後から出てきて、コースか飲み放題か持ち込みかによって話が変わる
- 食物アレルギーや苦手な食材、乾杯のドリンクの希望が、決まる直前の別の一通で届く
店側は一通ごとに返信できるわけではありません。厨房が回っている時間帯は画面を見られず、閉店後にまとめて返すことになります。その結果、お客様から見ると「返事が遅いうえに、また質問が返ってきた」という流れになります。これは誰かの対応が悪いのではなく、「判断に必要な項目の一覧」を最初にお客様へ渡していないことが原因です。同じ飲食店の連絡の仕分け全体は、既存記事の飲食店のLINE連絡を整える|予約確認・臨時休業・貸切の問い合わせの切り分けで扱っています。この記事は、その中の貸切・宴会の部分を、フォームの質問分岐に絞って深掘りするものです。
聞き直しが起きる原因を4つに切り分ける
設定に入る前に、聞き直しの原因を分けておきます。原因が違えば、直し方も違うからです。
| 原因 | 現場で起きること | 対処の方向 |
|---|---|---|
| 必要項目が決まっていない | その場の思いつきで質問するので、聞き漏れが出て追加の質問が続く | 店として「判断に最低限必要な項目」を先に10個以内で決める |
| お客様が項目を知らない | 何を伝えれば可否が分かるのか、お客様から見えない | 質問をフォームに並べ、答えるだけで揃う形にする |
| 種類によって聞くことが違う | 席のみの宴会と店全体の貸切では、聞くべき項目が違うのに同じ質問を全員にしている | 最初に「ご希望の形」を選んでもらい、その答えで次の質問を変える |
| 返信の担当が決まっていない | 誰が見て、いつ返すかが曖昧で、お客様に待たせる理由を伝えられない | 受付後の自動返信で「いつまでに返すか」を伝え、確認時刻を決める |
三つ目の「種類によって聞くことが違う」が、フォームの質問分岐でいちばん効く部分です。席だけを予約したいグループに「音響機器の持ち込み」を聞く必要はなく、店全体を貸し切りたいグループに「コースの量」だけ聞いても足りません。分けて聞けば、回答する側の負担も軽くなります。質問の数や順番そのものの考え方は、既存記事のアンケートの設計|質問数・順番・必須の付け方で離脱を減らす考え方が参考になります。
LINEとエルメで解ける部分・解けない部分
先に線を引いておきます。フォームが得意なのは「条件を漏れなく集めること」で、「可否を決めること」ではありません。
| やりたいこと | フォームと分岐で解ける部分 | 人が決める部分 |
|---|---|---|
| 人数・日程・予算を揃えて聞く | 質問を並べ、必須にして一度で集める | 人数の増減を許容する範囲の設定 |
| 貸切か席のみかで質問を変える | 単一選択の答えで、次に出すページを切り替える | 貸切を受ける条件(曜日、最低人数、最低予算) |
| 受け取ったことを知らせる | 回答完了時にテンプレートメッセージを送る | 返信期限の約束、実際の返信 |
| 可否や見積もりを返す | 解けない(自動では決められない) | 台帳の確認、仕入れ、スタッフの確保、料金の提示 |
| アレルギー・食事制限への対応 | 記入欄を用意して、内容を残せる | 対応できるかの判断は、調理責任者を含めて人が行う |
ここで大事なのは、右の列がすべて人の仕事として残ることです。フォームを作っても、貸切の可否の判断は自動にはなりません。「返す内容は人が決め、聞く内容だけ揃える」と割り切ると、設計がぶれません。
宴会ヒアリングを「分岐タイプのフォーム」で作る手順
先に決めておく3つのこと
公式マニュアル(2026-10-09取得)によると、フォームのタイプにはシングルタイプと分岐タイプがあり、タイプは作成後に変更できません。分岐タイプで作るつもりが、シングルで作り始めてしまうと作り直しになります。そのため、画面を開く前に次の三つを紙に書いておきます。
- 最初の質問(分岐の基準):「ご希望の形」。選択肢は例えば「席のみのご宴会」「店全体の貸切」「まだ決まっていない(相談したい)」の三つ
- 選択肢ごとに聞く項目:人数、希望日、開始・終了時刻、予算、食事の希望など
- 回答後に店側がやること:誰が、いつ確認し、いつまでに返信するか
分岐の基準にできるのは単一選択の質問だけで、複数選択では分岐できないと公式に書かれています。「ご希望の形」は、単一選択で作るのが基本です。また、分岐先のページは、基準となる質問の全選択肢分を用意してから紐づける流れです。選択肢を三つにしたなら、ページも三つ必要です。
作る流れと確認ポイント
| 手順 | 画面での操作 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 1. 新規作成 | 「フォーム作成」から新規作成し、管理名・フォーム名を入力、タイプで「分岐タイプ」を選ぶ | 管理名は友だちに見えない。フォーム名は見える。タイプは後から変えられない |
| 2. 基準の質問 | 「項目・装飾を追加」から単一選択を選び、「ご希望の形」と3つの選択肢を入力 | 複数選択にしない。選択肢の言い回しを、お客様が迷わない表現にする |
| 3. ページを追加 | 「ページ追加」で、選択肢ごとにページを作り、照合しやすい名前(例:席のみ/貸切/相談)を付ける | 選択肢の数とページの数が一致しているか |
| 4. 各ページに質問 | 人数(短文+整数の入力制限)、希望日(日付)、予算(単一選択)などを追加 | 必須と任意を決める。長文欄は任意にすると離脱しにくい |
| 5. 紐づけ | 連携設定で「指定のページ(分岐を設定する)」を選び、各回答の遷移先を設定して保存 | 全選択肢に遷移先が入っているか。スマートフォンで実際に回答してテストする |
入力項目は、公式によると短文・長文・日付・時刻・単一選択・複数選択などから選べ、短文には入力制限(メール、電話、カタカナ、整数、日付など)を付けられます。人数の欄を整数に制限しておけば、「15人くらい」という書き方は入れにくくなります。幅のある人数を許容したい場合は、「最少人数」と「最大人数」の二つの欄にするほうが、店側の判断材料としては有用です。
つまずきやすい点
- 共通の質問(お名前、連絡の希望など)を、分岐の前後どちらに置けるかは、公式ページの範囲では確認できませんでした。実際の画面で試し、置けない場合は各分岐先のページに同じ質問を入れます
- 複数選択の質問(例:持ち込みたいもの)は、分岐の基準にはできませんが、分岐先のページの中なら使えます。選べる数に上限も付けられます
- 日付欄は、デフォルト日付や、すでに登録された友だち情報の初期表示を設定できる、と公式にあります。ただし宴会の希望日は初回問い合わせで未入力が多いため、初期値は空欄が無難です
- 回答者がLINE上で開くため、画面が長くなると途中でやめられます。1ページあたりの質問は少なめに保ちます
回答のあと:返信と台帳をつなぐ運用ルール案
フォームを作っただけでは、聞き直しは減りません。回答が届いた後の動きまで決めて、はじめて「何往復も」が一往復に近づきます。公式のフォーム機能には、回答完了時にできる動作として、テンプレートメッセージの送信、タグの付与・削除、友だち情報の付与、ステップ配信の開始・停止、回答内容のコピーメッセージの送信などが示されています。これらを使った運用の型を挙げます。
- 受付の自動返信:回答完了時に「ご相談ありがとうございます。お返事は【営業日の翌日まで/○時まで】にお送りします。ご回答の時点で予約が確定するわけではありません」とテンプレートで送る
- タグで状態を残す:回答完了時にタグ(例:宴会相談中)を付け、返信が終わったら人がタグを付け替える。タグの命名や整理の考え方は、既存記事フォームの回答後アクションと条件の考え方|回答でタグを付ける・通知する・次の案内につなぐにあります
- 回答内容の控えを送る:回答内容のコピーを本人に送ると、お客様が「何を伝えたか」を見返せ、店側も同じ文面を確認できる
- 確認の時刻を決める:運営側への通知の仕組みは、フォームのマニュアルの範囲では確認できませんでした。そこで「開店前と閉店後の2回、回答を見る」のように時刻で運用する
- 台帳に写す:回答はCSVでダウンロードでき、Googleスプレッドシートにリアルタイムで連携できると公式にあります。予約の正本が紙や別システムの店は、その転記の担当を決める
毎回見るチェックリスト
- 人数・希望日・開始と終了の時刻・予算の4点が、回答から読み取れるか
- 貸切の希望なら、通常営業のお客様の予約との重なりを台帳で確認したか
- アレルギー・食事制限の記入があれば、調理責任者に伝えたか
- 返信に「確定ではない」ことと、次に必要なこと(連絡の期限、内金の有無など)を書いたか
- 返信後にタグを付け替え、台帳に記録したか
活用例と、向かないケース
活用例(架空の設計例)
以下は実在の店舗の事例ではなく、設計の考え方を示すための架空の例です。成果の数字は示しません。
【例】席数に余裕のある居酒屋【店名】が、週末のご宴会と貸切の相談を、LINEのフォームに集約する設計です。
- 入り口:トーク画面で相談を受けたら、定型文でフォームのURLを案内する(エルメでは、フォームの送信用URLを配信に組み込める、と公式にあります)
- 最初の質問「ご希望の形」:席のみ/店全体の貸切/まだ決まっていない
- 席のみのページ:人数(整数)、希望日(第1〜第3希望)、開始時刻、コースの予算帯、アレルギーの有無
- 貸切のページ:想定人数(最少・最大)、希望日、開始・終了時刻、予算帯、持ち込みの希望(複数選択)、音響・飾り付けの希望(任意)
- まだ決まっていないのページ:相談内容(長文)、連絡してよい時間帯、おおよその時期
- 回答後:受付のテンプレートを自動送信し、「宴会相談中」のタグを付ける
- 人の作業:店長が開店前に回答を見て台帳と突き合わせ、可否を自分の言葉で返す。確定後はタグを付け替える
この設計で、お客様が追加で聞かれるのは「判断に迷う点」だけになります。たとえば人数が幅で書かれているなら「最大人数でお席を確保して良いか」のように、論点を絞った一往復で済ませるイメージです。
LINEのフォームに向かないケース
- 緊急の連絡:当日の人数変更や遅刻の連絡は、フォームではなく電話のほうが確実です
- 金額や契約の確認:キャンセル料、内金、書面の取り交わしを伴う案件は、フォームで集めた情報をきっかけに、電話や対面で確認します
- 食物アレルギーの重い案件:記入欄は用意できますが、対応可否は人が直接確認します。フォームの自動返信で「対応できます」と言わないこと
- LINEを使わない幹事:企業の総務など、メールや電話が基本の相手には、従来の窓口も残します
- 団体の個人情報の扱い:参加者の氏名などを集める場合は、各店の方針と、LINEとエルメの規約を確認してください。この記事では法令の判断はしません
私の見立てとまとめ
私の見立て3点
- 聞き直しの原因の多くは、お客様の説明不足ではなく、店側が「判断に必要な項目」を先に渡していないことにあります。フォームは、その一覧を見える形にする道具です
- 質問の分岐は、項目を増やすためではなく、「答えなくてよい質問を見せない」ために使うのが向きます。分岐を増やしすぎると、保守が追いつかなくなります
- フォームは受付の窓口で、可否の判断の自動化ではありません。受付後の返信と台帳の更新まで決めた店ほど、運用が続くはずです
まとめ
貸切・宴会の問い合わせは、人数・予算・日程が揃うまで往復が続きがちです。分岐タイプのフォームで「ご希望の形」を最初に聞き、種類ごとに必要な項目を並べると、聞き直しを減らせる可能性があります。ただし、タイプは作成後に変えられず、分岐の基準は単一選択のみ、全選択肢にページが必要、という制約があります。設定前に紙で設計を固めておくのが近道です。
費用面では、フォーム数は公式の料金表(2026-10-09取得)でフリープランが3つまで、スタンダード(10,780円・税込)とプロ(33,000円・税込)が制限なしと示されています。分岐機能そのものの対象プランは、公式のマニュアルでは確認できませんでした。契約前に公式サイトや問い合わせ窓口でご確認ください。
公式で確認できなかった点
- 分岐タイプのフォームがどのプランで使えるか
- フォーム回答があったときに運営側へ通知する機能
- 分岐の前後に共通の質問ページを置けるか
- フォーム回答の保存期間
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