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秋の限定ブレンドと、アレルギーに配慮した焼き菓子の新作。同じ週に二つの新商品が出るとき、LINE公式アカウントの友だち全員に両方を送ると、「甘いものは食べない」「飲み物しか買わない」という人には半分が関係のない通知になります。通知が自分に関係ない日が続くと、人は静かにブロックします。新商品の案内は、うれしい人にはうれしく、そうでない人には邪魔になる、扱いの難しい配信です。
この記事では、物販・飲食・サロンなどの小さなお店が「新商品・新メニューの案内を、関心がありそうな人にだけ送る」ために、エルメ(L Message)のタグと「絞り込み」配信をどう組み合わせるかを整理します。機能の説明だけでなく、タグを何から作るか、人数がおかしいときの切り分け、絞らないほうがよいケースの判断基準まで書きます。
「関心がある人」を、3種類に分けて考える
「関心別に送りたい」と思ったとき、最初につまずくのは機能ではなく、関心の定義です。何をもって「関心がある」とするかを決めないままタグを作ると、後から意味の分からないタグが増えます。現場で扱いやすいのは、関心の根拠で3種類に分ける考え方です。
| 種類 | 根拠 | タグの例(仮) | 向く新商品の案内 |
|---|---|---|---|
| 自己申告 | 本人が選んだ(アンケート・フォーム・ボタン) | 関心_焼き菓子/関心_コーヒー豆 | カテゴリが明確な新作 |
| 行動 | メニューのボタンをタップした、特定のページを見た | 反応_季節メニュー | 季節もの・数量限定 |
| 店側の記録 | 来店・購入の記録を店が手で付ける | 購入_ギフト/常連 | 過去に買った人への関連案内 |
自己申告は確度が高い一方、集まるまで時間がかかります。店側の記録は集めやすいものの、店が付け忘れると精度が落ちます。最初の1か月は「自己申告」だけで始め、タグが育ってきたら他の二つを足す、という順番が運用しやすいはずです。LINE側の属性(年代・性別・地域など)を使った絞り込みもありますが、これは別の仕組みなので後の節で触れます。
興味や行動で友だちを分けて送る基本的な考え方は、『セグメント配信、何から始める?』興味・行動で友だちを分けて送る基本でも整理しています。この記事は、その中でも「新商品の案内」という一つの場面に絞った手順です。
関心タグを集める入口は3つ。まず1つだけ作る
エルメでは、タグを付ける入口がいくつかあります。公式マニュアルで確認できた範囲では、次の3つが新商品の案内に使いやすい入口です。
入口1:リッチメニューのボタンをタップしてもらう
リッチメニューのボタン動作に「エルメアクション」があり、その中でタグを「付ける」「外す」を選べます。たとえば「新作の通知を受け取る」というボタンに、「関心_新作通知」のタグを付けるアクションを割り当てます。ボタンを押した人だけにタグが付くので、本人の意思がはっきりします。
入口2:フォームの回答完了時のアクション
フォームの「回答完了時のメッセージ・アクション」にもアクションを追加できます。「好きなカテゴリを選んでください(複数可)」のようなフォームを作り、回答に応じてタグを付ける設計にすれば、1回の回答で複数の関心タグが付きます。
入口3:店側が手で付ける
購入やご来店の記録は、タグ管理画面から店側で付けられます。レジ横でお客様が「この前買った○○が気に入って」と話してくれたときに、あとでタグを付ける、という使い方です。ただし、複数人で運用するときは付け忘れが出るため、誰がいつ付けるかを決めておく必要があります。
タグ自体は「データ管理」の「タグ管理」から作成します。「+タグ追加」で一度に最大20個、CSVで一括追加する場合は一度に最大200個まで作れます(取得日2026-10-09)。最初から大量に作る必要はなく、まず3〜5個から始めれば十分です。名前の付け方は、タグが増えすぎて何のタグか分からない問題|エルメのタグ管理で整理する手順と命名ルールが参考になります。
一つ補足です。タグ追加時にアクションを設定できますが、「稼働回数」を「一度のみ」にすると、同じ人に同じタグが再び付いても2回目以降は実行されません。また、タグを外しても、追加時に動いたアクション(たとえば表示したリッチメニュー)は元に戻りません。関心タグは付けて終わりではなく、「外す手順」も運用に入れておく必要があります。
タグを指定して配信する手順と、人数がおかしいときの切り分け
関心タグが付いたら、いよいよ配信です。エルメの公式マニュアルでは、次の流れが案内されています。
- 左メニューの「メインサービス」から「メッセージ」に進み、上部の「メッセージ配信」を選ぶ。
- 「新規作成」を押し、「管理用タイトル」と配信時間・配信タイミングを設定する。
- 配信先は初期状態で全友だちが対象になっている。「絞り込み」の隣の「設定」から条件の画面を開く。
- 条件の種類を選ぶ。複数の条件を「すべて満たす」ものと、「どれか1つ当てはまる」ものがある。
- 左の列の「タグ」から、配信対象のタグを選ぶ。
- 「保存」を押すと、「予定配信者数」が表示される。
- 想定と極端に違うときは前の画面に戻って見直す。問題なければメッセージを作成し、登録する。
特に重要なのは、手順6の「予定配信者数」の確認です。公式の説明でも、「すべて満たす」か「どれか1つ」かで人数が大きく変わるので、登録前に必ず人数を見るよう案内されています。新商品の案内でよく起きる人数のずれは、次のように切り分けると早く原因にたどり着けます。
| 症状 | 考えられる原因 | 確認すること | 次の一手 |
|---|---|---|---|
| 想定より極端に少ない | 条件を「すべて満たす」にしている | 関心_焼き菓子と関心_コーヒーを両方持つ人だけになっていないか | 「どれか1つ」に切り替える |
| 想定より極端に多い | 絞り込みの条件が入っていない/条件が緩い | 「絞り込み」が有効になっているか、全友だち対象のままではないか | タグを選び直して保存し、人数を再確認 |
| 0人になる | タグを選び間違えた/まだ誰にも付いていない | タグ一覧の友だち数をクリックして該当者がいるか見る | タグの付与元(ボタン・フォーム)が動いているか試す |
| 付けたはずの人に届かない | タグが付いていない/外れている | その人の友だち情報でタグを確認する | 入口のアクションの保存漏れを疑う |
なお、LINE公式アカウント側にも「絞り込み配信」があり、オーディエンスや年代・性別などの属性で絞れます。公式ページによると、属性による絞り込みにはターゲットリーチ数が100人以上必要で、絞り込み後の推計も50人以上が必要です。また、年齢や性別は利用動向から推定された「みなし属性」であり、実際と異なる場合があると説明されています。つまり、「この人は焼き菓子が好き」という店ならではの関心は、LINE側の属性では表せません。そこで、自分で付けるタグの出番になります。
絞るか、全員に送るか。判断の基準と運用ルール
関心別に送ると決めても、すべての新商品を絞る必要はありません。次の基準で、その都度決めると迷いが減ります。
| 新商品の性格 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| お店全体の話題(リニューアル、移転、営業時間の変更) | 全員に送る | 関心に関係なく全員に必要な連絡のため |
| 特定カテゴリの新作(焼き菓子の新味など) | 関心タグで絞る | 関係ない人への通知を減らせる |
| 数量限定・先着 | 関心タグ+予約・取り置きの導線 | 届く人が少なすぎると売り切れ前に動けないため、人数を見て判断 |
| アレルギー・原材料の変更が絡む | 絞らず、全員に分かりやすく | 安全に関わる連絡は漏れがないことを優先 |
次の運用ルール案は、そのまま小さなお店のメモにできる形にしてあります。
- 新商品の案内を送る前に、予定配信者数を必ず見る。全友だち数の1割に満たない、または9割を超えるときは、もう一度条件を見直す。
- 関心タグは「関心_(カテゴリ名)」のように頭にそろえる。
- 関心を外したいという声があれば、その場でタグを外す。外した日付を記録しておく。
- 年に1回、タグの付与人数を確認し、誰にも付いていないタグは整理する。
- 絞り込み配信と全員配信の両方で、同じ内容を重ねて送らない。
活用例(架空の設計例)
ここからは実例ではなく、考え方を伝えるための架空の設計例です。成果の数字はありません。
設定:テイクアウト中心の小さなパン店。友だちは数百人規模を想定。新作が月に2〜3種類出る。
- リッチメニューの一つに「新作のお知らせ設定」を置き、タップするとフォームが開く。
- フォームは「気になるもの(複数可):食事パン/菓子パン/焼き菓子/季節限定」の1問だけ。回答完了時のアクションで、選択に応じて「関心_食事パン」などのタグを付ける。
- フォームの最後のお礼メッセージで「あとから変更できます」と伝え、同じフォームに戻れる導線を案内する。
- 新作の案内は、タグ指定の配信で送る。配信前に予定配信者数を確認する。
- 月に1回だけ、全員向けに「今月の新作まとめ」を送り、タグを付けていない人も見られるようにする。
この設計のポイントは、全員向けの月次まとめを残している点です。タグを付けていない人を置き去りにせず、必要なら自分で関心を足せる入口が常にあります。
向かないケースと、確認が必要な点
向かないケース
- 友だちが数十人しかいない段階。タグで絞ると、届く人数が少なすぎて、そもそも分ける意味が薄い。全員向けに、短く送ったほうが現実的。
- 原材料やアレルギーの変更など、安全に関わる連絡。関心タグで絞ると、届かない人が出る危険がある。
- 発売日が近く、問い合わせが電話中心のお店。LINEで絞っても、電話での案内が主なら、まず店頭・電話の運用を整えるほうが先。
- 個人情報や購入履歴をタグとして細かく管理する場合。取り扱いの方針は、各自の規約・方針を確認してください。
公式で確認できなかった点
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| タグ指定の配信が使えるプランの範囲 | 配信手順のページには記載がなく、公式で確認できませんでした。契約前に公式で確認を。 |
| タグの付与人数・作成数の全体上限 | 公式で確認できませんでした。 |
| リッチメニューをタグ別に出し分ける機能の対象プラン | 「個別に選択」は有料プラン限定との記載がありました(取得日2026-10-09)。詳細は公式で確認を。 |
私の見立て3点と、まとめ
- 最初の一歩は、タグを作ることではなく「関心を聞く入口」を1つ作ること。タグは、聞いた答えを入れる箱でしかありません。
- 絞り込み配信は、予定配信者数を見る習慣が一番の安全装置。人数が想定とずれたら、送らずに戻る。
- 全員向けの配信を完全にやめない。関心別と全員向けを混ぜた二層の運用が、小さなお店では続けやすい。
新商品の案内を関心がある人にだけ届けるには、①関心を3種類に分ける、②入口を1つ作ってタグを集める、③予定配信者数を確認してから、タグ指定で配信する、という順番が基本です。絞り込みは業務改善の工夫であり、売上を保証するものではありません。まずはタグを3個、入口を1つ、から試してみてください。
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