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クリティカルシンキング(批判的思考)とは|「多面的・多角的な見方」との違い

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結論から言うと、クリティカルシンキング(批判的思考)とは、情報や物事を鵜呑みにせず、いろいろな角度から検討して、論理的・客観的に理解しようとする考え方です。「多面的・多角的な見方」が“見る方向を増やすこと”だとすれば、批判的思考は“見えたものが本当に確かか、根拠はあるかを確かめること”にあたります。

この2つは対立するものではなく、組み合わせて使うと力を発揮します。ここでは、辞書や学術的な説明で確認できる範囲で、意味と違いを整理します。(情報の確認日:2026-10-11)

クリティカルシンキング(批判的思考)とは

まず辞書の説明です。コトバンクに収録されている『デジタル大辞泉』(小学館)では、クリティカルシンキングは、情報や物事を鵜呑みにせず、さまざまな角度から検討して、論理的かつ客観的に理解することを指す、という趣旨で説明されています。「批判的思考」「批判的思考法」とも呼ばれます。

もう少し学術的な説明として、同じくコトバンクに収録されている『最新 心理学事典』(楠見孝さんの執筆項目)があります。要点をまとめると、次のとおりです。

  • 基準に照らして、論理的・合理的で、偏り(バイアス)の少ない思考であること
  • 他人を非難したり、論破したりする思考ではなく、自分自身の推論の進め方を振り返って吟味する「反省的な思考」であること
  • スキル面(問題や主張を明確にする、情報源の信頼性を判断する、推論する、問題を解決する)と、態度面(自分の思考過程への自覚、探究心、証拠を重んじる客観性、じっくり考える姿勢)に分けて整理されること

ここで大切なのは、「批判」という言葉から連想しがちな「相手の欠点を指摘すること」とは違う、という点です。疑う対象は人ではなく、主張や情報、そして自分自身の考え方です。

「多面的・多角的な見方」とは何が違うのか

「多面的・多角的」は、文部科学省の学習指導要領(解説)にも出てくる言葉です。小学校の「特別の教科 道徳」の解説では、物事を一面的に捉えず、多様な感じ方や考え方、多様な価値観があることを前提にして、他の人との対話などを通じて考えを深めていく、という方向性が示されています。(出典:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 特別の教科 道徳編」)

「多面的」と「多角的」の違いについては、当ブログの 元教師がわかりやすく解説!『多面的・多角的な見方』 で、面が増えること(多面)と、同じ面を別の角度から見ること(多角)として解説しています。気になる方は、あわせて読んでみてください。

この「見方を広げる」考え方と批判的思考の関係を、わかりやすさを優先して整理すると、次のようになります。これは公式の定義ではなく、記事の理解のための整理である点にご注意ください。

多面的・多角的な見方クリティカルシンキング(批判的思考)
主な働き見る面・角度を増やして、視野を広げる主張や情報の根拠・前提・筋道を吟味して、確かさを確かめる
問いのかたち「他の見方はないだろうか」「それは本当か」「根拠は何か」「推論に飛躍はないか」
向かう先見落としていた面に気づく偏りや誤りに気づき、より妥当な結論に近づく
対象物事・出来事・人の行為など情報、主張、そして自分自身の考え方

つまり、見方を広げるだけでは「いろいろな意見がある」で止まってしまうことがあります。そこに「どれが、どんな根拠で確からしいか」を確かめる批判的思考が加わると、判断につながります。逆に、批判的に検討するだけで視点が一つしかなければ、検討の材料そのものが偏ってしまいます。

身近な例で考える

たとえば「このやり方がいちばん良い」と書かれた記事を読んだとします。

多面的・多角的に見る場合

  • 別の立場の人から見たら、どう映るだろう
  • メリットだけでなく、負担や注意点はないだろうか
  • 今の状況とは違う条件では、どうなるだろう

批判的思考で確かめる場合

  • 「いちばん良い」と言える根拠は書かれているか
  • その根拠は、誰が、いつ、どこで確認した情報か
  • 「だから必ずこうなる」と言い切れる筋道になっているか、飛躍はないか
  • 自分は、結論に賛成したいから甘く見ていないか

前半で材料を集め、後半で吟味する、という流れです。順番も大事で、まず視点を広げてから確かめるほうが、確認漏れが少なくなります。

今日から使える3つの問い

心理学事典の整理(根拠の重視、自分の推論の振り返りなど)を、日常で使いやすい問いに置き換えると、次の3つになります。

問い確かめていること
それは事実か、意見か事実(確認できること)と、書き手の感想や推測を分けられているか
根拠は何か、出どころは信頼できるか情報源が示されているか、確認できる一次的な情報か
自分は偏っていないか思い込みや、結論ありきで読んでいないか

3つの問いは、毎回すべて使う必要はありません。大事な判断の前や、「なんとなくそう思い込んでいるな」と感じたときだけで十分です。

お客様に伝わる文章を考えるヒントとして

批判的思考は、文章を書く側にも役立ちます。お店や教室の公式アカウントから案内を配信するとき、「事実」と「感想」を分けて書く、根拠を添える、言い切れないことは言い切らない、というだけで、読む人にとって安心できる文面になります。配信前に、読み手の立場(多面的・多角的な見方)に立ってから、事実と根拠を点検する(批判的思考)と、書き直す箇所が見つかりやすくなります。LINE公式アカウントの配信文を自分のスマホで試しながら整えたい方は、無料プランのあるエルメを使う方法もあります。

批判的思考を日常でどう鍛えるかは、【AI時代に必須!?】批判的思考(クリティカルシンキング)〜思考のトレーニング③〜 でも取り上げています。

まとめ

  • クリティカルシンキング(批判的思考)は、鵜呑みにせず、根拠をもとに論理的・客観的に確かめる考え方(デジタル大辞泉・最新 心理学事典の説明にもとづく整理)
  • 多面的・多角的な見方は、見る面や角度を増やして視野を広げること
  • 視野を広げてから根拠を確かめる、という順で組み合わせると使いやすい

なお、この記事は上記の辞書・事典・文部科学省の資料で確認できる範囲に絞っています。批判的思考の定義や構成要素は研究者によって整理が異なるため、詳しく知りたい場合は原典をご確認ください。

参照:コトバンク「クリティカルシンキング」(デジタル大辞泉/最新 心理学事典、確認日2026-10-11)https://kotobank.jp/word/クリティカルシンキング / 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 特別の教科 道徳編」https://www.mext.go.jp/content/220221-mxt_kyoiku02-100002180_002.pdf