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整備工場やカーショップのお客様との連絡は、電話、ショートメッセージ、はがき、店頭での口頭など、手段がばらばらになりがちです。しかも車の連絡には、ほかの業種にあまりない特徴があります。「いつ送るか」が、お客様ごとの車検満了日や点検時期で決まることです。美容室の「前回から1か月後」のような一律のタイミングではなく、一人ひとりの車に固有の日付が起点になります。この記事は、その固有の日付を取りこぼさずに連絡へつなげる考え方と、LINE公式アカウント+エルメ(L Message)でどこまで組めるかを、公式情報の範囲で整理したものです。
先に断っておくと、法律で定められた車検の期限や必要書類、整備の可否の判断は、この記事では扱いません。それらは国土交通省や各運輸支局、ご自身の整備士資格・工場の指定区分に照らして、各自で確認してください。ここで扱うのは「確認した結果を、お客様にどう伝えるか」という連絡の側だけです。
車の連絡は「時期」で動く:まず4種類に切り分ける
連絡の設計は、全部を一つの仕組みで解こうとすると失敗します。整備工場の連絡は、性質の違う次の4種類に分けると整理しやすくなります。
- 時期案内:車検や点検の時期が近いことを知らせる連絡。起点はお客様ごとの日付。
- 入庫予約:いつ車を持ち込むか、代車は要るかを決める連絡。やりとりが往復しやすい。
- 作業中・作業完了の連絡:預かり中の進み具合、追加作業の相談、引き渡しの案内。
- お知らせ:休業日、タイヤ交換の時期、リコール情報の取り扱い方針など、全員向けの連絡。
この4つは、LINEの中でも使う機能が違います。時期案内はタグと絞り込み配信、入庫予約は予約管理かフォーム、作業完了は1:1チャットとテンプレート、お知らせは一斉配信、という具合です。下の表は、それぞれの連絡で「誰が起点か」「何がつまずきやすいか」をまとめたものです。
| 連絡の種類 | 起点 | 主な手段の候補 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|---|
| 時期案内 | お客様ごとの満了日・点検日 | タグ(満了月)+絞り込み配信 | 満了日の登録漏れ、売却・廃車したお客様への誤送信 |
| 入庫予約 | お客様の希望日と工場の空き | 予約管理またはフォーム+1:1チャット | 代車や預かり日数を後から聞き直すことになる |
| 作業完了 | 工場側の作業進行 | 1:1チャット+テンプレート | 追加作業の承諾が曖昧なまま進む |
| お知らせ | 工場側の都合(休業など) | 一斉配信・予約配信 | 送り間違い・日付の誤記 |
どれか一つに絞って始めるなら、私は「作業完了の連絡」か「時期案内」のどちらかを勧めます。前者は毎日発生するので手間の削減が見えやすく、後者は件数は少なくても、忘れると次の入庫機会を失う種類の連絡だからです。ただし、売上を伸ばす話ではなく、「担当者が覚えていないと落ちる連絡を、仕組みで落とさない」ための順序づけです。
車検・点検の時期案内:満了月のタグで「送る人」を絞る
時期案内でいちばん悩ましいのは、お客様ごとに日付が違うことです。エルメの公式マニュアルでは、予約に対するリマインド配信は用意されていますが、「友だち情報に入れた日付を起点に、自動でN日前に送る」と明記された機能は、今回確認した範囲では見つけられませんでした(公式で確認できませんでした)。そのため、ここでは公式に確認できるタグと絞り込み配信を組み合わせる、手作業が少し残る設計を前提にします。
満了月タグの付け方
タグは、手動で付ける方法、条件で自動で付く方法、フォームに答えたときに付く方法があると、公式マニュアルのタグ管理のページで案内されています。車検の時期案内では、フォームで「車検の満了月」を聞き、回答に応じて「満了-2027年03月」のような月タグを付ける形が現実的です。タグ名は、並べたときに順番が崩れないよう、年・月を固定の桁数で書くのがコツです。
- タグ名の例:満了-2027-03(年4桁・月2桁、ハイフン区切り)
- フォームの選択肢も同じ月の並びにして、手入力のブレをなくす
- 満了月が分からない人には「満了月不明」タグを付けて、次回来店時に店頭で聞き取る
- 売却・廃車・引っ越しの連絡を受けたら、満了月タグを外して「配信停止(車手放し)」を付ける
満了月タグの考え方や、友だち情報との使い分けは、エルメの友だち情報管理の使い分け|タグとの違い・登録方法4つ・情報タイプ6種類の記事で整理しています。日付そのものを情報として持たせるか、月タグで持たせるかは、お客様の数と、毎月の作業を誰が担当するかで決めると破綻しにくいです。
「いつ送るか」を段階で決める
送る時期は、店ごとの方針です。ここでは、あくまで設計例として3段階の案を挙げます。実際の日数は、入庫の混み具合や部品手配の事情に合わせて決めてください。
| 段階 | 送る時期(案) | 入れる内容 | 手段 |
|---|---|---|---|
| 第1報 | 満了の約2か月前 | 時期が近いことと、入庫予約の入口 | 絞り込み配信(予約配信) |
| 第2報 | 満了の約1か月前(未予約の人のみ) | 予約がまだの方への再案内、代車の有無 | 絞り込み配信(予約済みタグの人を除外) |
| 最終 | 満了の約2週間前(未予約の人のみ) | 電話でも受付できること、休業日の注意 | 絞り込み配信または1:1チャット |
第2報以降を「未予約の人のみ」にするには、入庫予約が確定した時点で「入庫予約済」タグを付ける運用が必要です。予約をエルメの予約管理で受ける場合は予約をきっかけに管理でき、電話で受けた場合は店側が手でタグを付けます。ここを手作業にするのか、予約を全部LINE経由に寄せるのかが、運用負担を決める分かれ目です。絞り込み配信の手順と月の配信数の数え方は、エルメで絞り込み配信をする手順と月の配信数の数え方を先に読んでおくと、配信数の見積もりで迷いません。
送る前の確認
時期案内は、宛先を絞るぶん、条件の指定ミスがそのまま誤送信になります。配信前には「予定配信者数が想定の範囲か」「文面に月日の誤りがないか」「除外タグが効いているか」の3点を、必ず別の人の目で見てください。確認の手順はLINEの一斉配信で送り間違い・誤字・宛先違いを防ぐ確認手順|配信前チェックの作り方と、エルメの配信予約・予定配信者数の使いどころにまとめてあります。
入庫予約:往復を減らすために最初に聞く項目
入庫の連絡は、「来週の水曜に持っていけますか」「代車はありますか」「何日くらい預かりますか」と、質問が往復しやすい種類です。往復を減らす基本は、最初の一回で必要な情報を全部もらうことです。エルメのフォームや予約時の入力項目の設定(公式マニュアルの予約管理に「予約時の入力項目の設定方法」があります)で、次の項目を聞いておくと、後から電話をかけ直す回数が減ります。
| 聞く項目 | 理由 | 聞き方の例 |
|---|---|---|
| 車検・点検・修理・タイヤ交換のどれか | 作業時間と必要な人員が違う | 選択式(複数選択可) |
| 車種と年式(ナンバーは不要) | 部品や作業の事前確認に必要 | 自由記入。ナンバーまでは聞かない |
| 希望日(第1・第2希望) | 工場の空きと突き合わせる | 日付の選択、または予約枠から選ばせる |
| 代車の希望と、引き取り方法 | 代車台数が限られる、引取は人手が要る | 選択式(代車要/不要、持込/引取希望) |
| 気になる症状や音(任意) | 整備士が事前に準備できる | 自由記入。診断は来店後と案内する |
個人情報の扱いにも決めごとが要ります。車検証の写真などは、LINEで送ってもらうか店頭で受け取るかを、店のルールとして先に決めておきましょう。送ってもらう場合は、写真が1:1チャットの履歴に残ること、閲覧できる担当者の範囲を絞ること、保存期間の考え方を、社内で合意しておくのが無難です。法令上の取り扱いは各自でご確認ください。
予約の機能の選び方と、キャンセル時の考え方は、エルメの予約機能(予約管理・リマインド)の設定と、先に決めておくことの記事が土台になります。車の入庫では、前日リマインドに「持ってくるもの(鍵、車検証、ロックナットのアダプターなど)」を書いておくと、当日の戻りが減ります。持ち物は車種や作業で変わるので、固定文にせず作業の種類ごとに文面を分けるのが現実的です。
作業中・完了の連絡:テンプレートと「追加作業」のルール
作業が始まると、連絡の中身は一転して「相談」になります。分解したら追加の不具合が見つかった、という場面です。ここで曖昧にしてはいけないのが、追加作業の承諾の記録です。口頭の電話だけだと、あとで「そんな話は聞いていない」になりがちなので、LINEの1:1チャットに「内容・金額・納期への影響」を文字で残し、お客様が「承知しました」と返した時点を承諾とする、という運用が使えます。ただし、金額の扱いや契約上の効力は、見積書・作業指示書など社内の書類と整合させてください。契約・法律の判断は各自で確認をお願いします。
完了連絡のテンプレートを3種類に絞る
- 通常完了:作業内容の要約、お渡し可能な時間帯、支払い方法、次回の目安(時期が分かるときのみ)
- 追加作業ありで完了:追加した作業と金額は事前に承諾済みである旨、使用した部品の説明
- 部品待ちで延長:新しい納期の見込みと、代車の延長可否、次の連絡予定の日
1:1チャットのテンプレートは、お客様の名前と車種だけを差し替えて送れるようにしておくと、打ち間違いと所要時間の両方を減らせます。担当者を複数にする場合は、エルメの1:1チャットの使い方と、複数人で対応するときの決めごとにある「誰が返信するか」の決めごとを先に作ってください。受付の人が見落とす、フロントと整備士で言い方が違う、といった属人化は、文面の型で大きく減ります。
お渡し後の一通
お渡しの後には、保証や再確認が必要な作業に限って、短い確認の連絡を一通だけ用意する運用もあります。たとえばタイヤ交換後の増し締めの案内のように、安全に関わる定型の案内は、送り忘れないことが目的です。ここでも作業内容の判断は整備士が行い、LINEは「案内を落とさない器」として使います。
活用例(架空の設計例)
ここからは実在の店舗の事例ではなく、設計のイメージをつかむための架空の例です。成果の数字はありません。
従業員5名ほどの街の整備工場を想定します。これまでは、車検の時期は事務の方が台帳を見て電話やはがきで案内し、作業の進み具合の連絡は整備士が手の空いたときに電話していました。電話が通じず、折り返しが夕方になる日もありました。
- 入口:店頭のQRコードと請求書の下部に、友だち追加のQRを載せる。追加直後のあいさつメッセージで、「車検の満了月」を聞くフォームへ誘導する。
- タグ:回答に応じて満了月タグを付ける。入庫予約が確定したら「入庫予約済」を付け、作業完了後に満了月タグを新しい年のものに付け替える。
- 時期案内:毎月初めに、翌々月の満了タグの人へ第1報を予約配信。翌月の初めに、予約済みタグを除いて第2報を送る。
- 作業連絡:1:1チャットのテンプレートを3種類用意し、フロントが返信担当、整備士は内容を共有するだけにする。追加作業は必ず文字で金額を残す。
- 見直し:3か月ごとに、「満了月不明」タグの人数と、送り間違いが起きかけた件数を振り返る。
この例の肝は、全部を自動にしないことです。満了月タグの付け替えのような作業は人が行い、そのかわり送る相手の判断は仕組みに任せる、という分担です。分担が合わなければ、予約を電話中心に戻して時期案内だけをLINEに載せる、という縮小もできます。
つまずきやすい点と、無料プランで始める範囲
つまずきやすい点
- 満了月のフォーム回答が空欄のまま:「不明」の選択肢を必ず用意し、未回答者に別タグを付ける
- タグが増えすぎて管理できない:満了月は1年分の12個程度に抑え、過ぎたタグは整理するルールを作る
- 同じ人に重複して案内が届く:第2報以降は除外条件を入れ、配信前に予定配信者数を確認する
- 家族の車を複数台登録したい:1人の友だちに複数台の満了月をどう持たせるかは、公式で確認できませんでした。まずは運用で「代表の1台のみ」にするか、台数の多いお客様だけ店で台帳管理を続ける
料金と上限(2026-10-09時点・公式表示)
エルメの公式サイトの料金表(2026-10-09に確認)では、フリーは月額0円、スタンダードは10,780円(税込)、プロは33,000円(税込)です。フリーの上限は、エルメ配信が月1,000通、フォーム3つ、リッチメニュー2つ、チャット履歴の閲覧・検索が180日です。条件分岐やアクションスケジュール実行などはスタンダード以上と案内されています。LINE公式アカウント側のメッセージ数は別枠なので、数え方はLINE公式アカウントのメッセージ数の数え方と、超えないための考え方|吹き出し・Push・Replyの違いで確認してください。
| 項目 | フリー | スタンダード | プロ |
|---|---|---|---|
| 月額(税込) | 0円 | 10,780円 | 33,000円 |
| エルメ月間配信数 | 1,000通 | 制限なし | 制限なし |
| フォーム | 3つまで | 制限なし | 制限なし |
| リッチメニュー | 2つまで | 制限なし | 制限なし |
| チャット履歴 | 180日 | 制限なし | 制限なし |
注意点として、有料プランから無料プランへの戻し(ダウングレード)はできず、解約してから接続解除し、再接続するとデータが全て消える旨が案内されています。日割りの返金はなく、自動更新です。契約前に、必ず最新の公式表示で確認してください。まず無料で、時期案内の1本と作業完了のテンプレートだけを試すのが安全です。月1,000通の中で、お客様が数百人規模なら、第1報・第2報・最終の3回配信で上限に近づく場合があるので、配信数の見積もりを先にしてください。
私の見立て3点とまとめ
私の見立て
- 1つ目:時期案内は「自動化」より「抜けない仕組み」と捉えるのが現実的です。公式で日付起点の自動送信は確認できなかったので、月タグ+予約配信の組み合わせで、人の作業が残る前提で設計するほうが長続きします。
- 2つ目:追加作業の承諾を文字で残す運用は、LINEの導入で最も効果が見えやすい部分だと見ています。ただし書面や契約との整合は、各社で確認が必要です。
- 3つ目:車の連絡は個人情報に近い情報(車種、住所に結びつく情報)を扱います。最初に「聞かない項目」を決めるほうが、機能を足すより先です。
まとめ
整備工場のLINE連絡は、時期案内、入庫予約、作業完了、お知らせの4種類に分けて、それぞれ別の道具を当てると整理できます。時期案内は満了月タグと絞り込み配信、入庫予約は最初に聞く項目の設計、作業完了は3種類のテンプレートと追加作業の記録が要です。まず無料プランの範囲で一本だけ試し、配信数と除外条件を確かめてから広げてください。法令や整備の判断は、この記事の範囲外です。各自で確認をお願いします。
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