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LINEで予約や申込を受けていると、ある日ふとトーク画面に「住所は◯◯市…、電話は090…です」と書かれたメッセージが流れてきます。親切心で送ってくれたものですが、受け取った側は「これ、どこに控えればいいのだろう」「あとで消すのは誰の仕事だろう」と立ち止まることになります。この記事では、住所と電話番号という二つの情報に絞って、聞く項目・置き場所・消し方を、事業者が自分の方針として決めていくための考え方を整理します。
先にお断りしておくと、この記事は個人情報の取り扱いについて法律上の正否を判断するものではありません。どの情報をどう扱うべきかは、業種、取り扱う情報の種類、契約や各種規約によって変わります。ここで書くのは、運用ルールを作るための一般的な整理と、エルメ(L Message)の公式マニュアルで確認できた範囲の機能の話です。最終的な方針は、事業者ご自身で、必要に応じて専門家や公式の窓口に確認して決めてください。本記事の内容は2026年10月9日に各公式ページで確認した範囲です。
最初に決めるのは、機能ではなく「聞かない勇気」
住所と電話番号のルール作りは、どうしても「どこに保存するか」という道具の話から始めたくなります。しかし、手間と漏れが一番増えるのは、実は聞く項目が多すぎるときです。持っている情報が増えるほど、保管場所も、見られる人の範囲も、消す作業も増えるからです。そこで、最初に次の三つの問いで項目を仕分けます。
- この情報がないと、次の一手(発送、訪問、折り返し電話、本人確認)が実際に止まるか
- その情報は、今この時点で必要か。それとも手続きが確定してからで間に合うか
- すでに別の場所(予約システム、会員台帳、請求書)にあるなら、LINEで重ねて持つ必要があるか
一つめで「止まらない」なら、聞かないのが一番軽い運用です。二つめで「あとで間に合う」なら、聞くタイミングを後ろにずらします。三つめで「別にある」なら、LINEには持たず、そちらを見に行く手順だけを決めます。次の表は、よくある項目を私なりにこの三つの問いで仕分けた例です。業種によって答えは変わるので、あくまで考え方の見本として使ってください。
| 項目 | 聞く必要が出る場面の例 | 聞くタイミングの目安 | 聞かずに済ませる代替案 |
|---|---|---|---|
| 氏名(呼び名) | 予約の名義確認、呼びかけ | 友だち追加直後〜初回予約時 | LINE表示名で足りるなら聞かない |
| 電話番号 | LINEが使えないときの緊急連絡、当日の折り返し | 予約確定の直前 | 「急ぎはLINEで」と案内し、番号は任意にする |
| 住所(番地まで) | 配送、出張・訪問対応 | 発送や訪問が確定した後 | 来店型なら不要。市区町村までにとどめる |
| 住所(市区町村のみ) | 対応エリアの確認 | 最初のヒアリング | 選択肢(エリア名)で答えてもらう |
| 生年月日 | 年齢確認が必要な手続き | 必要な手続きの直前 | 必要なければ聞かない。誕生月だけ聞く案もある |
この表の「代替案」の欄が、実は一番効きます。たとえば住所を「市区町村まで」にとどめられるなら、発送前の確認だけ別の場面で番地を聞く、という二段構えにできます。聞く量が減れば、あとの章で決める保管と消去のルールも、そのぶん短く済みます。
受け取る入口を一本にする:トークで届いたときの戻し方も決めておく
入口が複数あると、情報があちこちに散らばります。トークに書かれた住所、フォームに入力された住所、写真で送られた書類、電話で聞いてメモに残した住所。これらが混在すると、消すときに「どこかに残っている」状態が生まれます。そこで、住所や電話番号を受け取る正式な入口を一つに決めます。エルメで確認できる範囲では、その入口の最有力候補はフォームです。
フォームで確認できること(公式マニュアルの範囲)
エルメのフォームの公式マニュアルでは、短文・長文の入力欄に対して、必須か任意かの設定、補足文、入力例(プレースホルダー)、入力制限(メール、電話、カタカナ、整数、日付)を付けられると説明されています。また、利用規約の同意欄(案内文、規約本文、チェックボックスの文言)を置く質問タイプがあります。ただしマニュアルには、プライバシーポリシーの同意専用の欄があるという記載は確認できませんでした。同意欄を何に使うかは、事業者が自分の方針に合わせて決める部分です。
回答の扱いについては、回答が自動的にユーザー情報と紐づくこと、フォーム一覧から回答を表示できること、CSVで回答データをダウンロードできること、スプレッドシートと連携すると回答がほぼリアルタイムで記録されることが書かれています。氏名、メール、住所、生年月日、電話は友だち情報への反映先として標準で用意されている、とも読み取れます。一方で、個別の回答を編集・削除する方法は、公式マニュアルでは確認できませんでした。この点は次の章以降のルールに直結するので覚えておいてください。
トークに書かれてしまったときの戻し方
フォームを案内していても、トークに直接書いてくる人は必ずいます。そのときのために、定型の返信を一つ用意しておきます。内容は「ご連絡ありがとうございます。住所・お電話番号は、こちらのフォームからお送りください」という案内と、フォームへのリンクだけで足ります。責める口調は不要です。ここでのポイントは、トークに書かれた内容を、担当者が手で別の場所にコピーし始めないことです。コピーを始めると、置き場所が一つ増えます。フォームから改めて受け取り、トーク側の扱い(残す期間、見られる人)は後の章のルールで決める、と割り切るほうが管理は単純になります。
保管場所を決める:エルメの中と、そこから外に出る経路
入口を決めたら、次は置き場所です。ここで大事なのは、エルメの画面の中だけで考えないことです。公式マニュアルの機能を組み合わせると、情報は少なくとも次のような場所に存在しうるからです。
| 置き場所 | 公式マニュアルで確認できたこと | 確認できなかったこと | ルール案の例 |
|---|---|---|---|
| 友だち情報欄(記述タイプ) | 氏名・電話番号・住所を入れる例として「記述」タイプが挙げられている。登録は1:1チャット、友だち詳細ページ、フォーム回答時、予約時の質問から可能 | 削除専用の操作手順の記載。CSV出力の有無(友だち情報管理のページ内) | 住所・電話は友だち情報欄の一か所だけに置く。管理名に「住所」「電話番号」と明記して探しやすくする |
| フォームの回答 | 回答表示、CSVダウンロード、スプレッドシート連携が可能 | 個別回答の編集・削除方法 | フォームには必須最小限の質問だけを置く。CSVは取り出す人と用途を決める |
| 1:1チャットのメモ | メモの作成・編集・削除・並べ替えが可能 | メモの保存期間の定め | メモには住所・電話番号を書かない(友だち情報欄を見る、と書く) |
| トークの履歴 | 1:1チャットのページには履歴の保存期間の記載なし。エルメ料金表ではフリープランの履歴閲覧・検索期間が180日。LINE公式アカウントのチャット機能のマニュアルでは保存期間が無料で半年、Chat Proで5年と説明されている | エルメ側とLINE側で、期間の数え方や対象がどう対応するか | トークに書かれた住所は「残る前提」で扱う。送ってもらわない案内を徹底する |
| スプレッドシート(連携先) | 連携すると回答がほぼリアルタイムで記録される | 連携先からエルメ側の記録を消したときの挙動 | 共有範囲を最小にし、誰が閲覧できるか台帳に書く |
この表を見ると、「エルメに登録した住所を消した」だけでは終わらない可能性があることに気づきます。フォーム回答、スプレッドシート、トークの履歴、CSVを書き出したファイルなど、同じ住所が複数の場所に存在しうるからです。公式で確認できなかった点は、推測で「消えるはず」と書かず、実際の画面でテストするか、公式の問い合わせ窓口に確認する、というのが安全な進め方です。
見られる人を決める:担当者の範囲と、持ち出しのルール
保管場所が決まったら、誰がそこを見られるかを決めます。LINE公式アカウントのチャット機能のマニュアルには、ユーザーごとに担当者を割り当てられること、メモ(ノート)が使えること、などが説明されています。エルメの1:1チャットのマニュアルにも、友だち情報、タグ、フォーム回答、メモを右側のメニューで確認できることが書かれています。一方、エルメで担当者ごとに閲覧できる項目を絞れるかどうかは、今回確認した公式ページの範囲では分かりませんでした(公式で確認できませんでした)。
したがって、画面上で見られる範囲を絞れない前提で、運用ルールで補う設計が現実的です。たとえば次のようなルールが考えられます。
- 住所・電話番号を見てよいのは、発送や訪問を担当する人だけ。他の人は見ない約束にする
- 画面のスクリーンショットを、別のチャットやSNSに貼らない
- CSVやスプレッドシートを手元のパソコンに保存したら、用が済んだ日に消す。保存した日付を台帳に残す
- 退職・担当替えのときは、アカウントのログイン情報の扱いを同じ日に見直す
ルールは長くするほど守られなくなります。最初は三つか四つの約束に絞り、守れているかを月に一度だけ見直すくらいが続けやすいです。
消し方の決め方:「いつ」「誰が」「どこまで」の三点セット
消去のルールは、三点で決めると迷いません。一つめは「いつ」。目的が済んだ日から何日後か、という起点と期間を決めます。二つめは「誰が」。毎回違う人が思いつきで消すと、消し忘れと消しすぎの両方が起きます。三つめは「どこまで」。前の章の表にある置き場所のうち、どこまでを対象にするかです。なお、保管する期間をどのくらいにするかは、契約、業種の慣行、各種の規定によって変わりうるため、この記事では数字を示しません。事業者の方針として、確認したうえで決めてください。
エルメの中で消せるもの・手順が確認できたもの
公式マニュアルで確認できたのは、次の二つです。まず、友だちそのものの削除です。1:1チャットで対象の友だちを選び、画面上部の友だち名をクリックして右上の「削除」を押し、確認ダイアログでOKを押す、という手順が書かれています。この手順の目的として、迷惑アカウントの削除や配信数の削減が挙げられています。ただし、削除によってチャット履歴やその他の保存データがどうなるか、LINE側のブロックとどう違うかは、このページには書かれていません(公式で確認できませんでした)。
次に、友だち情報の値の変更です。1:1チャットや友だち詳細ページから値を編集できます。ページには「登録・変更・削除したい」という表現はありますが、削除専用の操作手順は載っていません。したがって、値を空にして保存すれば消えたことになるのか、履歴が別に残るのかは、実際に試して確かめるのが確実です。
消す前にやる、テストの手順
本番の友だちで初めて削除を試すのは避けたいところです。自分のスマホを友だち追加したテスト用アカウントで、次の流れを一度通してみてください。
- テスト用のフォームに架空の住所と電話番号を入力して送信する
- 友だち情報欄、フォーム回答表示、1:1チャットの右側メニューで、どこに情報が出るかを確認する
- 友だち情報欄の値を空にして保存し、フォーム回答表示や連携したスプレッドシートに何が残るかを確認する
- 友だち削除を実行し、同じ画面に何が残るか、再度友だち追加したときにどう見えるかを確認する
- 結果を「消えたもの」「残ったもの」の二列でメモして、運用ルールの「どこまで」の欄に反映する
このテストの記録そのものが、他の担当者に渡す手順書になります。公式で分からない部分は、テスト結果と公式の問い合わせの回答を合わせて、自分たちのルールに書き込みます。
消去依頼を受けたときの流れ
お客様から「情報を消してほしい」と連絡が来たときのために、受付の流れも決めておきます。誰が受けるか、本人であることをどう確認するか、どの場所まで対応するか、完了をどう伝えるか。この四つを一枚のメモにしておくと、慌てずに済みます。本人確認の方法や、依頼にどこまで応じる義務があるかは、事情によって異なるため、不明な場合は専門家に相談する前提で整理しておくのが無難です。
活用例(架空の設計例)
ここからは、実在の事例ではなく、考え方を示すための架空の設計例です。成果の数字は含みません。
例1:自宅で教室を開く小さな工房(来店型、物品の発送が時々ある)
来店が中心なので、住所は基本的に聞きません。作品を発送する場合だけ、発送が確定した時点でフォームを案内します。フォームの質問は、氏名、電話番号、郵便番号、住所、希望の配達日の五つだけ。電話番号は入力制限を電話の形式にし、補足文に「配達の連絡以外には使いません」と、自分の方針に沿った一文を書きます。住所と電話番号は友だち情報欄の記述タイプに反映し、メモには書きません。発送が終わった日から決めた日数が過ぎたら、担当者(店主本人)が友だち情報欄の値を空にして、スプレッドシートの該当行も消します。月末に台帳へ消した日付を一行書く、という最小限の運用です。
例2:二人で回している出張型のサービス(訪問先の住所が必要)
訪問のために番地までの住所が必須です。そこで、予約確定前は市区町村までを選択肢で聞き、確定後に番地をフォームで受け取る二段構えにします。住所を見てよいのは、当日の訪問担当と予約担当の二人だけと決めます。スマホで地図を開く際のスクリーンショットは、他のアプリに共有しない約束にします。サービスの終了から決めた期間が過ぎたら、予約担当が友だち情報欄とスプレッドシートを確認して消し、消した項目と日付を台帳に書きます。テスト用アカウントでの削除確認は、運用開始前に一度行っておきます。
つまずきやすい点と、起きる前の対処
| つまずき | 起きる理由 | 対処 |
|---|---|---|
| フォームを案内したのにトークに書かれる | 急いでいる人は一番早い方法を選ぶ | 定型の戻し返信を用意し、手でコピーしない |
| 同じ住所が複数の場所に残る | フォーム、友だち情報、スプレッドシート、CSVが並行して存在する | 置き場所の一覧を作り、消す対象をそこから選ぶ |
| 誰が消すのか決まっておらず放置 | 消去が通常業務の外にある | 担当者を一人決め、月末の確認項目に入れる |
| プラン上限でフォームが足りない | フリープランのフォームは3つまで(2026-10-09時点の公式料金表) | 質問を統合するか、プランの条件を公式で確認する |
| 公式に書かれていない挙動に頼った | 消えるはず、見えないはず、という思い込み | テスト用アカウントで事前に確認し、結果を記録する |
導入前チェックリスト
- 聞く項目を三つの問いで見直し、不要な項目を外した
- 受け取る入口をフォームに一本化し、戻し返信を作った
- 保管場所の一覧(友だち情報、フォーム回答、スプレッドシート、CSV、トーク履歴)を書き出した
- 見てよい人の範囲と、持ち出しの約束を決めた
- 消す「いつ・誰が・どこまで」を決め、台帳の様式を作った
- テスト用アカウントで、消えるもの・残るものを確かめた
- 事業者として確認が必要な規約や法令の確認先をメモした
私の見立て
- 住所・電話番号のルールは、機能の使いこなしよりも、聞く項目を減らす判断のほうが効きます。減らした分だけ、保管も消去も軽くなります。
- エルメの公式マニュアルで分かる範囲は、入口(フォーム)と置き場所(友だち情報、回答表示、CSV、スプレッドシート)までです。消去の挙動は公式で確認できない部分があり、テストと記録で補う運用が現実的です。
- ルールは短く、守れる量に絞るのが長続きします。完璧な規程を一度に作るより、三つの約束を作って月に一度見直すほうが、現場の手間と漏れを減らします。
まとめ
お客様の住所・電話番号をLINEで受け取るルールは、聞く項目の仕分け、入口の一本化、保管場所の一覧化、見てよい人の範囲、消去の三点セットの順に決めると整理できます。エルメの公式マニュアルでは、フォームの入力制限や必須設定、友だち情報への反映、回答のCSV・スプレッドシート出力、友だち削除の手順が確認できました。一方、個別回答の削除方法や、削除時にデータがどうなるかは公式で確認できませんでした。そこは推測せず、テストと問い合わせで埋めてください。
関連して、聞く項目の整え方は初回のヒアリングを毎回口頭で聞いている手間の減らし方|事前に聞く項目の整え方と、LINE公式アカウント+エルメのフォームが向く条件、友だち情報の種類や登録方法はエルメの友だち情報管理の使い分け|タグとの違い・登録方法4つ・情報タイプ6種類、情報が個人の頭の中にしかない状況の整理はお客様の情報が担当者の頭やノートの中にしかない問題の解き方|顧客情報の持ち方の選択肢と、LINE公式アカウント+エルメの友だち情報・タグが向く条件も参考にしてください。
料金は2026年10月9日時点で、エルメ公式のトップページに、フリープラン無料(フォーム3つまで、チャット履歴の閲覧・検索期間180日)、スタンダード月額10,780円(税込)、プロ月額33,000円(税込)と掲載されていました。プランの内容は変わることがあるため、契約前に公式で確認してください。
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