「AIが自動で返事をしてくれたら、問い合わせ対応がラクになるのでは」
そう考えて、LINE公式アカウントのAIチャットボット(β)が気になっている方は多いと思います。
ただ、この機能は、スイッチを入れればすぐ動くものではありません。先に決めておくことが、いくつかあります。
この記事では、自分で公式LINEを運用している方、構築を頼むときに「AIで自動返信できますか」と聞いてみたい方に向けて、使う前に決めたい3つのことを整理します。
画面の名前や仕様は、2026/10/19に公式マニュアルで確認しています。AIチャットボット(β)は「β」と付いているとおり、今後、仕様が変わる可能性があります。実際の画面と違うときは、公式の最新の案内を優先してください。
AIチャットボット(β)は、どんな機能か
公式マニュアルによると、AIチャットボット(β)は、友だちがトークルームで質問したときに、登録してあるQ&Aの中から最適な回答をAIが選んで返信する機能です。
ここで大事なのは、「AIが自由に文章を考えて答える」のではなく、「登録したQ&Aから選んで返す」と説明されている点です。つまり、答えの中身は、運営する側が先に用意することになります。
公式マニュアルで確認できた特徴は、次のとおりです。
- 友だちの質問に、登録済みのQ&Aから最適な回答を選んで自動で返信する
- PDFや画像などの素材から、最初のQ&Aを自動で作ることができる
- 利用状況をもとに、AIが改善の提案(追加・更新・削除・分割・統合)をしてくれる
- Q&Aの編集や表示の管理は、管理画面から行う
使う前に、先に確認しておく条件
公式マニュアルに書かれている利用条件のうち、運用を考えるときに関わりそうな所を挙げます。
- Web版管理画面からのみ利用できる(スマホの管理アプリでは使えない)
- チャットProオプションの有償機能として提供されている。ただし、「Q&A登録」と「Q&A応答テスト」は、チャットProオプションを購入していないアカウントでも使える
- 利用を始めるときの同意は、管理者権限を持つ担当者だけができる
- 当社が定める業種、または対象外と判断した業種のアカウントには、この機能は提供されない
- 認定セールスパートナーが開設・管理しているアカウントは、扱いが異なる
料金の金額は、公式の最新の案内でご確認ください。この記事では書きません。
「Q&A登録」と「Q&A応答テスト」は、購入前でも使えるとされています。まず試しに作ってみて、どう動くかを見てから考える、という順番もできそうです。
先に決めること①|応答設定を、先に見ておく
AIチャットボット(β)は、Q&Aを作っただけでは返信されません。公式マニュアルでは、「設定」>「応答設定」で、AIチャットボット(β)が送信される状態にしてから、Q&Aのステータスを「有効」にするよう案内されています。
応答設定の組み合わせは、次のとおりです。
| チャットの利用 | AIチャットボット(β)を送信するための応答設定 |
|---|---|
| チャットを利用しない | チャットをオフにする |
| チャットを利用する(応答時間は利用しない) | チャットはオン、応答時間はオフ。応答方法で、AIチャットボット(β)を含む項目を選ぶ |
| チャットを利用する(応答時間を利用する) | チャットはオン、応答時間はオン。応答時間内と応答時間外のそれぞれで、AIチャットボット(β)を含む項目を選ぶ |
AIチャットボット(β)を使っている間に選べる応答方法は、公式マニュアルでは次のように書かれています。
- 応答時間内:「手動チャット+AIチャットボット(β)」または「手動チャット+応答メッセージ+AIチャットボット(β)」
- 応答時間外:「AIチャットボット(β)」または「応答メッセージ+AIチャットボット(β)」
ここから分かるのは、「人が返信する時間は手動チャット、時間外はAIに任せる」といった分け方が選べる、ということです。
うまく動かないときは、AIチャットボット(β)の画面の上にある「現在のステータス」欄で、今AIチャットボット(β)が送信される状態かどうかを確認できます。まず、このステータスを見るのが近道です。
もう一つ、見落としやすい点があります。応答状況の表示です。AIチャットボット(β)が含まれる応答方法のときは、トークルームのアカウント名の下に「AIが自動で返信しています」と表示されます。公式マニュアルによると、Q&Aの登録状況や有効・無効にかかわらず、AIチャットボット(β)を含む設定なら一律でこの表示になります。
お客様に見える表示なので、あらかじめ知っておくと安心です。なお、応答状況の表示は、未認証アカウントでは変更できないと公式に書かれています。
先に決めること②|Q&Aに入れる質問と、人が答える質問を分ける
ここからは、公式マニュアルに書かれていない、私の整理です。
AIチャットボット(β)は登録したQ&Aから選んで返す仕組みですから、「何をQ&Aに入れるか」が、使い勝手を大きく左右します。分け方の一つの見方として、次の3つに分けてみてください。
入れてよさそうな質問(いつも同じ答えで済むもの)
営業時間、定休日、場所の案内、予約の方法、支払い方法の案内など。答えが変わらず、聞かれる回数が多いものです。
入れる前に迷う質問(答えが状況で変わるもの)
空き状況、料金の個別の見積もり、キャンセルの扱いなど。答えが日によって変わる質問は、古い答えが残ると、お客様に間違った案内をしてしまいます。入れるなら、「最新はこちらをご確認ください」とリンクで案内する形のほうが安心です。
人が答えたほうがよい質問
個別の事情が絡む相談、お詫びが必要なやりとり、体調や契約に関わる話など。ここは、Q&Aに入れず、人が見る入口を残しておきます。
質問の分け方については、既にこちらの記事に詳しくまとめています。
定型の質問は自動で答え、込み入った相談だけ人が見たい|自動応答と1:1チャットの切り分け基準の決め方
「適切な回答が見つからない」ときに、どんなメッセージが返るかも決めておくと安心です。公式マニュアルによると、返信の条件に当てはまるときに送られる「システムメッセージ」があり、返信条件は変えられませんが、返信するメッセージの文面は変更できます。
たとえば、「うまくお答えできませんでした。営業時間内にスタッフがご連絡します」のように、次に何が起きるかが分かる文面にしておくと、お客様が途方に暮れずに済みます。
先に決めること③|Q&Aを、どうやって作るか
Q&Aの作り方は、公式マニュアルでは3つ用意されています。
- 個別作成:テンプレートなどを使って、Q&Aを1件ずつ作る。「お問い合わせ」と「一般会話」のテンプレートがある
- 複数作成:CSVファイル(UTF-8またはShift-JIS形式)をアップロードして、まとめて作る
- 自動生成:PDFや画像(JPEG・PNG)から、AIがQ&Aを作る
自動生成には、いくつか決まりがあります。
- 参照用のファイル(PDF)と画像は、それぞれ最大10個まで追加できる。ファイルサイズは30MB以下
- 月の利用上限は30回
- 生成されたQ&Aは、保存する前に必ず確認する
- 権利を侵害する恐れのある内容は使わない
Webサイトの内容は、PDFや画像として保存してアップロードする方法もある、と書かれています。
自動生成は、ゼロから書く手間を減らしてくれますが、できたものをそのまま有効にしないことが大切です。古い情報や、自分の店では言わない言い回しが入っていないか、1件ずつ読んでから「保存して有効にする」を押す。この一手間で、後からの修正が減ります。
登録できるQ&Aは、100件までです(公式マニュアルの「登録上限」)。最初から100件を目指さず、よく聞かれる質問を10件ほど、というような少ない数から始めて、動かしながら足していくほうが、確かめやすいと思います。
動かしたあとに見る数字
AIチャットボット(β)には、分析の画面があります。公式マニュアルで確認できた主な項目は、次のとおりです。
- 応答した回数:登録済みのQ&Aで答えられた回数、「適切な回答が見つからない」を返した回数、テキスト以外を受け取った回数、エラーを返した回数の合計
- 適切な回答が見つからなかった割合:公式マニュアルでは、見つからなかった回数を、「Q&Aで答えられた回数と見つからなかった回数の合計」で割った割合と説明されている
- 満足度調査:Q&Aで答えられた割合などから、3段階で表示される
- 分析期間は、7日間か30日間から選べる
数字が見えるのは、「どの質問にQ&Aが足りていないか」を探す手がかりになります。「見つからなかった割合」が高いなら、お客様が実際に送っている質問を見て、Q&Aを足す、というように使えます。
管理画面の「Q&A改善」では、AIが「追加」「更新」「削除」「分割」「統合」の5種類の提案をしてくれます。Q&A改善は、月に30回までです。提案を実行するかどうかは、必ず自分で読んで決めます。
数字の見方の全般は、こちらもご覧ください。
LINE公式アカウントの月次の振り返り|見る数字5つと、30分で終わる確認の順番
構築を頼むときは、こう伝えてみてください
AIチャットボット(β)を使いたい場合は、構築を頼むときに、次のように伝えると話が早くなります。
- 「Q&Aは、渡したあとに自分で足したり直したりしたい」
- 「応答時間の内と外で、人が返すかAIが返すかを、一緒に決めたい」
- 「AIが答えない質問は、どこに案内するかも決めたい」
AIは、作るときにも、使うときにも、味方になります。ただ、渡したあとに、ご自身が管理画面でQ&Aを直せる形になっていることが、いちばん大事だと考えています。
AIに任せる部分と、管理画面で作る部分の分け方は、こちらにまとめています。
AIで作った公式LINEを、渡したあとも自分で直せる形にする|AIに任せる部分と、管理画面で作る部分の分け方
まとめ
- AIチャットボット(β)は、登録したQ&Aから最適な回答を選んで返す機能。答えの中身は、先に自分で用意する
- Web版管理画面のみで使え、チャットProオプションの有償機能。「Q&A登録」「Q&A応答テスト」は購入前でも使える
- Q&Aを作っただけでは返信されない。応答設定を整えて、Q&Aのステータスを「有効」にする
- AIチャットボット(β)を含む設定では、お客様に「AIが自動で返信しています」と表示される
- 答えが変わる質問と、人が答えたほうがよい質問は、Q&Aに入れない(または、リンクで案内する)
- 自動生成したQ&Aは、保存する前に1件ずつ読む
- 動かしたあとは、分析の「適切な回答が見つからなかった割合」を見て、Q&Aを足していく
6つの質問に答えるだけで、今の公式LINEの見直しどころが分かります。
▶ 公式LINEの取りこぼしチェックをやってみる
AIも使って、渡したあとも直せる形で作ることを、ご相談いただけます。
▶ 構築のご相談はこちら
書いた人:ふくろう(LINE構築×AI)
LINE公式アカウントの構築・運用を3年、100アカウントほど。AIも使って作りますが、渡したあと、ご自身で触れる形にすることを大事にしています。
X(@fukurou_lineai)/構築のご相談はこちら