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「あの子のLINEに全部入っているので、本人に聞かないと分かりません」。スタッフが辞める日が決まった途端、こんな言葉が出てきて慌てた経験はないでしょうか。小規模な店舗や教室では、お客様や保護者とのやりとりを、スタッフ個人のLINEで始めてしまうことがよくあります。最初は手軽で早いのですが、人が替わる場面で一気に問題になります。
この記事は、スタッフ個人のLINEで顧客対応をしている状態から、窓口を事業側のLINE公式アカウントへ移していく手順に絞って整理します。ずらして言えば「スタッフ 個人LINE」「顧客 連絡 退職」「引き継ぎ LINE」で悩んでいる方向けです。属人化そのものの考え方は別記事に譲り、ここでは「個人LINEからの切り替え」だけを扱います。機能の説明は、エルメ公式マニュアルとLINEヤフー for Businessの公式ページで確認できた範囲に限ります(確認日:2026-10-10)。
個人LINEでの顧客対応が、退職の日に困る理由
まず、何が困るのかを具体的に並べます。現場で起きやすいのは次のような場面です。
- お客様の連絡先が、スタッフのスマホの友だち一覧にしかない。
- 「前回はこう言っておいて」という約束が、トーク画面の中にしか残っていない。
- スタッフが休んだ日や辞めた後に、お客様のメッセージに誰も気づけない。
- お客様から見ると「あのスタッフさん」とやりとりしていたのに、急に返事が来なくなる。
- 端末の機種変更や、LINEアカウントの引き継ぎ操作の失敗で、履歴を見られなくなる。
ここで大切なのは、問題の中心は「LINEを使っていること」ではなく、「窓口と履歴がスタッフ個人の持ち物になっていること」だという点です。個人のアカウントは、その人が辞めれば事業側から触れなくなります。お客様との接点が、事業の資産ではなく個人の持ち物になってしまうわけです。
もう一つ、見落とされがちなのが、スタッフ本人の側の負担です。プライベートのLINEと仕事の連絡が同じ画面に並ぶため、休日や夜にも通知が来ます。辞めた後も元のお客様から連絡が来て断りづらい、という声も想像できます。切り替えは、事業のためだけでなく、スタッフを守るための整理でもあります。
原因を3つに切り分ける|どこが属人化しているのか
「個人LINEをやめる」と一言で言っても、困っている中身は人によって違います。先に3つに切り分けておくと、対処の順番が決めやすくなります。
| 困りごと | 原因の例 | 最初に取る対処 |
|---|---|---|
| お客様の連絡先が事業側にない | 個人LINEで友だち追加している/電話番号やメモが残っていない | 事業側のLINE公式アカウントへの友だち追加をお願いする導線を作る |
| 履歴・約束事が見えない | トーク画面にしか内容が残っていない | 今後のやりとりを公式アカウントの1:1チャットに移し、メモ欄に要点を残す |
| 誰が対応するか決まっていない | スタッフごとに窓口が別れている/休むと止まる | 担当の振り分けと権限を決め、スタッフ管理で全員を同じアカウントに入れる |
| 辞めたあとの権限が整理されていない | 招待したままのスタッフが残る | 退職時の権限削除を手順に入れる |
特に上の2行は「個人LINEの履歴を、そのまま事業側へ引っ越せるか」という疑問につながります。個人LINEのトーク履歴を、LINE公式アカウントやエルメに移す方法は、今回確認した公式ページでは見つかりませんでした(公式で確認できませんでした)。そのため、過去のやりとりを丸ごと移す前提ではなく、「ここから先のやりとりを事業側に置く」と割り切る設計が現実的です。
LINEで解ける部分と、解けない部分
エルメやLINE公式アカウントは便利ですが、この悩みのすべてを解決するわけではありません。解ける部分と解けない部分を分けて見ておきます。
| 項目 | LINE公式アカウント+エルメで解ける | 解けない・別の工夫が必要 |
|---|---|---|
| 窓口 | お客様との連絡を、事業のアカウントの1:1チャットに集約できる | お客様がこれまでの個人LINEに連絡し続けるのを止めることはできない |
| 複数人での対応 | スタッフ管理で複数人が同じアカウントを扱える(スタンダードプラン以上) | 担当の割り振りルール自体は、運用側で決める必要がある |
| 履歴・状況 | 1:1チャットで履歴を確認でき、対応ステータスやメモで状況を残せる | 履歴の保存期間は、エルメの公開マニュアルのチャット画面の説明には記載がなく、公式で確認できませんでした |
| 辞めた人の権限 | スタッフ一覧から削除できる | 削除し忘れの防止は、退職時チェックリストなど運用で担保する |
| 過去のトーク | (確認できませんでした) | 個人LINEの履歴の移行は、公式で確認できませんでした |
LINE公式アカウント自体のメンバー管理は、LINEヤフー for Businessの権限設定マニュアルによると、設定の「権限管理」からメンバーを追加します。認証用URLを発行して共有する流れで、1アカウントあたりの登録は権限の種類に関係なく100人まで、URLは発行から24時間で失効し、1人につき1回のみ有効とされています。
切り替えの手順|窓口を事業側のアカウントへ移す流れ
ここからは、実際の切り替えの流れです。機能名は公式マニュアルの表記に合わせています。
手順1:事業側の受け皿を作る
- LINE公式アカウントを用意し、エルメと接続する(接続手順はエルメ公式マニュアルを参照)。
- エルメの管理画面で、1:1チャットを開き、友だちの状況を確認できる状態にしておく。
- 1:1チャットの「送信ユーザー名」を設定する。設定すると、友だちのトーク画面に「送信ユーザー名 from 公式アカウント名」の形式で表示されます。初期設定のままでは表示されません。
3つ目はスタッフ名の見せ方に関わります。担当者名を出すか、店名のみで統一するかは事業側で決めて構いません。個人名を出さない設計にしておくと、担当が替わってもお客様に違和感が出にくくなります。
手順2:スタッフを招待し、権限を絞る
エルメのスタッフ管理(公式マニュアル:スタッフ管理)では、マイページの「スタッフ管理」から「スタッフを追加する」を選び、スタッフ名・対象アカウント・権限を指定して、招待用URLを発行します。公式には、招待URLの有効期間は24時間とされています。権限は「副管理人」「運用者」「サポート」の3区分で、機能ごとに許可する範囲を細かく設定できます。スタッフを追加できるのはスタンダードプラン以上です(公式マニュアルの記載。確認日2026-10-10)。
エルメ側の詳しい始め方は、エルメのスタッフ管理の始め方|招待・権限・運用ルールの決め方にまとめています。
手順3:お客様に新しい窓口を案内する
- 個人LINEで連絡しているお客様に、事業側のLINE公式アカウントを友だち追加してもらう案内を送る。
- 案内文には「今後のご連絡はこちらで承ります」と理由を一言添える。
- しばらくは両方で連絡が来る前提で、個人LINEに来たメッセージは公式アカウント側に転記して対応する。
- 一定期間が過ぎたら、個人LINEでは業務連絡をしないルールにする。
友だち追加の案内に使うURLやQRコードの取得方法は、LINE公式アカウント側の画面で確認してください(今回の記事では手順を確認していません)。
手順4:対応の状況を1:1チャットに残す
エルメの1:1チャットには、友だちごとの「対応ステータス」と「メモ」があります。公式マニュアルでは、初期設定のステータスとして「質問」「トラブル」「クロージング」「クレーム」などが挙げられ、名前・色・並び順は編集できるとされています。引き継ぎの場面では、次のような使い分けが考えられます。
- ステータス:誰かが対応中か、返信待ちか、完了かを一目で分ける。
- メモ:約束事(希望の時間帯、前回の対応内容、注意点)を短く書く。
- 送信ショートカットや自動確認済みなどのチャット設定:チームの使い方に合わせて決める。
なお、過去の履歴がどのくらいの期間残るかは、エルメの公開ページでは確認できませんでした。重要な約束事は、履歴に頼らずメモや別の記録にも残す方が安全です。顧客対応の記録の取り方は、顧客対応の記録の残し方|対応履歴ノートの項目と、LINEのやりとりとの紐づけ方で詳しく扱っています。
つまずきやすい点
| つまずき | 起きる理由 | 対処 |
|---|---|---|
| 招待URLが開けない | 有効期間が24時間で、期限切れや一度使用済みだと無効になる | 再発行して、できるだけすぐ共有する |
| スタッフが運用アカウントを見つけられない | 承認後にアカウント一覧へ追加される仕組み | 招待を受けた側が承認画面を済ませたか確認する |
| お客様がずっと個人LINEに連絡してくる | 案内が一度だけで終わっている | 案内を数回に分け、個人LINEの自動返信的な文言で誘導する |
| 誰が返したか分からない | 担当者名の見せ方を決めていない | 送信ユーザー名とメモの書き方を決める |
運用ルール案と、退職時チェックリスト
仕組みを作っても、ルールがなければ元に戻ります。小規模な現場で回しやすい運用ルールを案として挙げます。そのまま使わず、自分たちの規模に合わせて削ってください。
運用ルール案
- 業務連絡は事業のアカウントで行う。個人LINEでの業務連絡は、やむを得ない場合のみ、後で転記する。
- お客様ごとの約束事は、メモ欄に1〜3行で書く。
- 新しい担当者が入る日は、その日のうちに権限を付与する。
- 権限は必要な範囲だけにする(任せる作業だけ許可)。
- 月に一度、スタッフ一覧に不要な人が残っていないか見直す。
退職時チェックリスト
- エルメのスタッフ一覧から、該当スタッフを削除した。
- LINE公式アカウント側のメンバー(権限管理)にも該当者が残っていないか確認した。
- 対応中のお客様のメモと対応ステータスを更新した。
- 新しい担当者名を決め、必要ならお客様に案内した。
- 個人LINEで連絡していたお客様のリストを作り、案内状況を記録した。
- スマホの共有設定、通知設定を見直した。
担当者が休んだ日の代理対応の考え方は、担当者が休んだ日の代理対応ルール|連絡の振り分けと引き継ぎメモの型も参考になります。
活用例(架空の設計例)と、向かないケース
以下は架空の設計例です。実在の店舗の事例ではなく、成果の数字もありません。
架空の設計例:スタッフ3人の小さな教室
生徒の保護者との連絡を、スタッフ3人がそれぞれ個人LINEで行っている教室を想定します。ある月の終わりに、ベテランのスタッフが退職する予定が決まりました。この教室では、次のような順で切り替えを進める設計が考えられます。
- 事業側のLINE公式アカウントとエルメを用意する。
- 残る2人のスタッフを、運用者として招待する(必要なら副管理人を決める)。
- 保護者に「今後のご連絡はこちらで」と案内を送る。
- 対応ステータスを「確認中」「返信待ち」「完了」の3つに整理する。
- 退職前に、引き継ぎメモを各保護者のメモ欄に書いておく。
- 退職日にスタッフ一覧から権限を削除し、チェックリストを完了させる。
ポイントは、退職日の前に「事業側で見られる状態」を作っておくことです。当日に慌てて画面を探す必要がなくなります。
向かないケース
- 緊急性が高い連絡:電話や対面が適切です。LINEの返信を待つ運用にしないでください。
- 個人情報を詳しく扱う判断:何をLINEで受け取るかは、各自の方針や規約に従って確認してください。
- お客様が個人的な関係でスタッフとつながっている場合:事業の連絡と私的な連絡を分ける話し合いが先です。
- スタッフが1人だけで、退職の予定もない場合:まず優先すべき課題かを見直してください。
法律や労務に関わる判断(退職後の顧客情報の扱いなど)は、この記事では行いません。必要に応じて専門家や自社の規程を確認してください。
私の見立て3点とまとめ
私の見立て
- 最初に決めるのは機能ではなく「窓口はどこか」です。窓口を決めずにツールだけ増やすと、個人LINEと公式アカウントの二重管理になります。
- 履歴の移行を期待しすぎないことです。確認できる公式情報の範囲では、移行機能は見つかりませんでした。「これから先」を整える方針が現実的です。
- 退職は、権限の削除という作業に落とせます。人に頼らない手順(チェックリスト)にしておくと、慌てずに済みます。
まとめ
スタッフ個人のLINEで顧客対応をしていると、退職や休みの場面で窓口と履歴が止まってしまいます。切り替えの流れは、事業側のアカウントを用意し、スタッフを権限付きで招待し、お客様に新しい窓口を案内し、対応状況を1:1チャットに残す、という順です。エルメのスタッフ管理はスタンダードプラン以上で使える点、履歴の保存期間や過去のトークの移行は公式で確認できなかった点は、契約前に公式で確認してください。
まずは無料プランで1:1チャットの画面や対応ステータスを触ってみて、自分たちの規模で回るかを確かめるのが近道です。
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