※この記事は広告(アフィリエイトリンク)を含みます。
土曜の午前、初めて来るお客様から店に電話が入ります。「ビルの前までは来ているんですが、入口がどこか分からなくて」。施術や接客で手が離せないスタッフは、着信音を聞きながら、手を止めるべきか迷います。ここで大きく困るのは、お客様が迷っていることだけではありません。電話に出れば目の前のお客様を待たせ、出なければ初めてのお客様を外で待たせます。どちらを選んでも、店の最初の印象を少しずつ削ることになります。
この記事は、「初めて行く場所で入口が分かりにくい」「初回来店が不安」という声が出る店舗・サロン・教室向けに、LINE公式アカウントとエルメのあいさつメッセージ、リッチメニュー、テンプレートを使って、入口の目印を来店の前に渡しておく方法を整理します。結論を先に書くと、入口の分かりにくさを建物の側から直せない場合でも、「伝え方」はかなり直せます。ただし、LINEで直せない種類の迷い方もあるので、その線引きも書きます。
「入口が分からない」は、3種類の別の迷い方が混ざっている
同じ「入口が分かりにくい」という声でも、お客様がどこで迷っているかで、効く手当てがまったく違います。最初に、自店で起きていることがどれに当たるのかを切り分けます。電話や来店時の会話で、次の3つを聞き分けてみてください。
| 迷い方 | お客様の言い方 | 原因の例 | 効く手当て |
|---|---|---|---|
| ①建物にたどり着けない | 「駅からどう行けばいいですか」「地図の場所に何もない」 | 地図アプリのピン位置のずれ、同名の建物が近くにある | 地図のピンの修正、最寄り出口の指定、道順の写真(LINEでは「見せる」部分を担当) |
| ②建物は見えるが入口が分からない | 「ビルの前にいます」「どの扉ですか」 | 看板が小さい、入口が建物の裏や路地側にある、1階が別の店舗に見える | 入口の写真と目印(色・看板・隣の店名)を先に渡す(本記事の中心) |
| ③入口は見つけたが先で迷う | 「入ったけど何階ですか」「インターホンが見当たらない」 | エレベーターの位置、呼び鈴の種類、オートロック、靴を脱ぐ場所 | 到着後の手順(階・呼び鈴・待つ場所)を短い順番で書く |
この表の使い方は単純です。直近で受けた問い合わせを10件ほど思い出し、どれがどの行かを数えます。①が多いなら、入口の話より地図情報の見直しが先です。②が多いなら、この記事の主題です。③が多いなら、入口の写真より「入ってからの順番」を文章で整えるほうが効きます。
同じ「場所が分からない」でも、当日の問い合わせ全般を自動応答で受け止める設計は、「場所が分からない」という連絡が当日に多い|道案内の問い合わせをリッチメニューと自動応答で減らす手順で扱っています。こちらの記事は、それより前の段階、つまり「初めて来る人が、来る前に入口のイメージを持てるようにする」ことに絞ります。
LINEで解ける部分と、解けない部分
入口の問題は、建物の構造や看板の位置という物理の問題と、それをどう伝えるかという情報の問題に分けられます。LINEが手伝えるのは後者だけです。先に線を引いておくと、できないことに期待せずに済みます。
| 対象 | LINEで解ける | LINEでは解けない |
|---|---|---|
| 入口の見え方 | 入口の写真・目印・到着後の順番を、来店前に届ける | 看板が小さい、入口が裏にあるという事実そのもの(看板の設置は管理会社や大家さんとの相談になります) |
| 届けるタイミング | 友だち追加の直後に自動で出す/予約が入った人に個別に送る/リッチメニューにいつでも見られる場所を作る | 友だち追加をしていない人には届かない(予約サイトや電話だけで来る人) |
| 迷ったときの出口 | リッチメニューに「電話をかける」を置いて、すぐ連絡できるようにする | スタッフが電話に出られないという人手の問題 |
| 見せ方 | 画像・位置情報・文章を、一回の送信にまとめて入れられる | 画像の中の文字が読めるかどうかは、撮り方と作り方次第 |
特に3行目が大事です。LINEは電話の代わりではなく、「電話が鳴る回数を減らす」道具です。電話の窓口は残したまま、迷う人が最初に見る場所を整えるのが現実的です。
入口の目印を渡す仕組みを作る手順
先に決める:友だち追加は「来店の前」か「来店のとき」か
あいさつメッセージは、友だち追加のときに自動で出ます。つまり、友だち追加が来店よりも前でなければ、入口の案内は間に合いません。ここが最初の分岐です。
- 予約の段階でLINEを追加してもらう店:あいさつメッセージに入口案内を入れるのが最も楽です。
- 店頭のQRコードで追加してもらう店(来店後に友だちになる):あいさつメッセージの入口案内は意味がありません。予約の確認メッセージの側に入口案内を入れます。
- チラシ・SNSから追加される店:追加時期は読めないので、あいさつメッセージとリッチメニューの両方に入口案内を置いておきます。
自店の流れがどれに当たるかは、予約をどこで受けているかで決まります。電話だけで予約を受けている場合は、通話の最後に「LINEで入口の写真をお送りしますか」と一言添える運用が現実的です。
① あいさつメッセージに「入口の3点セット」を入れる
エルメのあいさつメッセージは、新規友だち用・既存友だち用・ブロック解除友だち用の3パターンがあり、メッセージのほか、ステップ配信の開始、リッチメニューの表示、テンプレート送信、タグの付与といったアクションを組み合わせられます(2026-10-09に公式マニュアルで確認)。入口案内に使うなら、新規友だち用に次の構成が扱いやすいです。
- あいさつの一言(2行まで)。
- テンプレートの送信:入口の写真・目印・到着後の順番を入れたテンプレートを呼び出す。
- リッチメニューの表示:「アクセス・入口」のボタンを置いたメニューを出す。
- タグの付与:「初回案内送信済」のようなタグを付ける(あとで案内を見たかどうかの目印にする)。
公式マニュアルには、複数のアクションが「必ずしも上から順に実行されるわけではない」と注意が書かれています。このため、あいさつ文の中で「次のメッセージをご覧ください」のように順番を前提にした書き方は避け、各メッセージが単独で意味の通る文面にしておくと安全です。
② テンプレートに、入口案内を一通でまとめる
テンプレートは、再利用できるメッセージを保存する機能で、1つのテンプレートに複数のメッセージを登録して一度にまとめて送れます。メッセージの種類には、テキスト、画像・動画・音声、位置情報、パネル・ボタンなどがあります。画像はpngまたはjpgで10MBまで、と公式にあります。入口案内は次の4通を1つのテンプレートに入れる形が分かりやすいです。
- 1通目(テキスト):最寄りの出口から入口までを、歩く順に3行で。
- 2通目(画像):入口の正面から撮った写真。目印を矢印などで入れる場合も、文字は大きく少なく。
- 3通目(位置情報):地図のピン。駅からの道ではなく、入口の位置に合わせる。
- 4通目(テキスト):着いてからの順番(インターホン・階・靴・お待ちいただく場所)と、迷ったときの連絡方法。
このテンプレートは、あいさつメッセージからも、予約確認のときの1:1チャットからも呼び出せます(公式のテンプレートの利用場面に、1:1チャット・自動応答・ステップ配信などが挙がっています)。入口案内を1か所に保管しておけば、看板を替えたり工事で入口が変わったりしたときの修正も、テンプレートの一か所で済みます。ただし、一斉配信でテンプレートを使うときの「そのまま利用」と「引用して編集」の違いに注意が必要です。そのまま利用なら元の編集が反映され、引用して編集なら反映されません。入口の更新を全体に反映したいなら「そのまま利用」を選びます。
③ リッチメニューに「入口・アクセス」を置く
リッチメニューは、トーク画面の下に常に出る画像メニューです。画像サイズは大が2,500×1,686px、小が2,500×843pxで、これ以外のサイズは登録できません。各タップエリアには、エルメのアクション(テンプレート送信、テキスト送信、タグ操作など)か、友だちのアクション(指定ページを開く、電話をかける、予約フォームを開くなど)を割り当てられます。
入口案内で意識してほしいのは、タップ回数の計測が「エルメアクション」を設定したエリアだけ数えられる点です。「アクセス・入口」のボタンを、外部の地図ページを開くだけの設定にすると、押されたかどうかを後から数えられません。入口案内のテンプレートを送る設定にしておけば、押された回数が分かり、本当に使われているかを見直す材料になります。反対に、「電話をかける」ボタンは友だちアクションなので回数は数えられません。それぞれ役割を分けて考えます。
なお、タグや友だち追加日などで特定の友だちだけにメニューを出し分ける機能は、公式では有料プラン限定と書かれています。無料プランでは全員に同じメニューが出ると考えて設計し、「初めての方へ」は誰が見ても邪魔にならない位置に置くのが無難です。
つまずきやすい点
- あいさつメッセージのテストは、友だち情報を削除してから追加し直す手順になります。公式では、友だち情報を削除すると、再登録しても紐づく情報は復元されないとあります。本番の友だちで試さず、テスト用のアカウントを用意します。
- リッチメニューの「指定ページを開く」は、LINE内ブラウザでのみ表示されます。地図アプリへの切り替わり方は公式で確認できていないため、地図は位置情報メッセージで送るほうが確実です。
- 入口の写真は、昼の写真だけだと夜に迷います。夜間営業の店は、夜の写真もテンプレートに入れます。
入口案内の文面と、更新のルール
そのまま使える文面の作例
以下は作例です。【】の部分を自店に合わせて書き換えます。
【店名】へのご来店ありがとうございます。初めての方は、入口が少し分かりにくいため、先にご案内します。
【最寄り駅】の【出口名】を出て、【目印の建物】を右に見ながら【○○】方面へ進みます。
入口は、【1階が○○屋のビル】の左側にある【緑の扉】です。通りに面した看板は小さいので、【赤い旗】を目印にしてください。
扉を入ったら【エレベーターで3階】へお越しください。【靴は入口で脱がずにそのままどうぞ】。
迷われたときは、下のメニューの「電話をかける」から、お気軽にご連絡ください。
避けたい書き方は、「すぐ分かります」「簡単です」です。迷っている人にとっては逆効果になります。「少し分かりにくい」と先に認めておくほうが、お客様が自分を責めずに済みます。
入口案内を送る前のチェックリスト
- 写真は、お客様が歩いて近づく向きで撮ってあるか(店内側から外を撮った写真ではないか)。
- 目印は、季節や天候で変わらないものか(のぼり、イベント用の看板、植木は変わりやすい)。
- 隣の店の名前や、同じビル内の別店舗名を出しても差し支えないか。
- 階数・扉の色・インターホンの位置を、現在の状態に合わせて確認したか。
- テスト用アカウントで、画像と位置情報が一通に並んで届いたか。
更新のルール案
| きっかけ | やること | 担当の目安 |
|---|---|---|
| 看板・入口まわりの工事や模様替え | 入口の写真を撮り直し、テンプレートの画像を差し替える | 店長(日付を決めて確認) |
| 月の最初の営業日 | テンプレートを一度自分で開き、写真と実際の入口が合っているか見る | 開店準備の係 |
| 「入口が分からなかった」と言われた | 言われた内容をメモし、①②③のどれかを記録。月末に一覧を見て文面を直す | 受けた人 |
活用例(架空の設計例)
以下は実例ではなく、設計の考え方を示す架空の例です。成果の数字は載せません。
住宅街の2階にある少人数のヨガ教室を想定します。1階は別のクリニックで、教室の入口は建物の脇の外階段です。初回体験は電話とLINEの両方で受け付けているものとします。
- 友だち追加の時期:体験の予約ページにLINEのQRコードを置き、予約後に追加してもらう流れにする。
- あいさつメッセージ(新規友だち用):あいさつ2行、入口案内テンプレートの送信、リッチメニューの表示、「体験案内送信済」タグの付与。
- テンプレートの中身:1通目は最寄り駅から徒歩ルート、2通目は外階段の写真(1階のクリニックの看板が写る位置から)、3通目は位置情報、4通目は「外階段を上がった突き当たりが教室です。靴はお履き物のまま上がり、ドアの前でお待ちください」といった到着後の手順。
- リッチメニュー:左に「アクセス・入口」(テンプレート送信)、中央に「体験予約」、右に「電話をかける」。
- 運用:クリニックの看板が変わったら写真を撮り直す、月初に自分でテンプレートを確認する。
この例のポイントは、入口の説明を「1階の他の店の看板」を基準に書いていることです。自店の看板が小さい店ほど、自店ではなく周りの目印を基準にしたほうが、初めての人には伝わります。
LINEの入口案内が向かないケース
- 高齢のお客様が多く、LINEを使っていない層が中心の場合:電話で口頭の案内を丁寧に行うほうが早いです。LINEを追加する手間自体が、入口の迷いより大きな負担になることがあります。この場合は、紙の地図と入口写真を、予約票や案内状に入れて渡すほうが確実です。
- 入口が頻繁に変わる、または仮設で毎回違う場合(イベント会場、臨時の出張店舗など):テンプレートの更新が追いつきません。毎回その日の入口を個別に送る運用か、当日の現地スタッフが外に立つ運用が向いています。
- バリアフリー対応など、建物の構造に個別の配慮が必要な来店:階段の有無や車いすの出入口など、個々の状況の確認が必要なやり取りは、LINEの一斉配信ではなく、電話か1:1のやり取りで確認するべきです。
- すでにお客様が目の前の入口に迷っている最中の緊急対応:写真を送る前に、まず電話か声で誘導するほうが早いです。
まとめと、私の見立て
私の見立て3点
- 入口が分かりにくい店ほど、「分かりにくいと自分から認める」文面のほうが役に立ちます。「すぐ分かります」は迷った人を追い詰めます。
- あいさつメッセージだけに頼らず、予約確認の流れにも同じテンプレートを差し込めるようにしておくと、友だち追加の時期がずれても取りこぼしません。
- リッチメニューの「アクセス・入口」は、エルメのアクション(テンプレート送信)にして、押された回数を見られるようにしておくと、改善の材料が残ります。
公式で確認が必要な点
この記事を書くにあたり、2026-10-09時点の公式マニュアルで確認できなかった点を、ここにまとめます。いずれも契約前や設定前に、公式のサポートに確認してください。
- あいさつメッセージ内での名前などの差し込み(情報自動挿入)が使えるかどうか(あいさつメッセージのページには記載がありませんでした)。
- あいさつメッセージ機能とリッチメニュー出し分けの対象プランの詳細(出し分けが有料プラン限定という記載のみ確認)。
- リッチメニューの「指定ページを開く」から地図アプリへ切り替わるかどうか。
- 予約リマインドなど、予約機能からの自動メッセージに入口案内を差し込めるかどうか(本記事では確認していません)。
まとめ
「初めての来店で入口が分かりにくい」という声は、①建物にたどり着けない、②入口が分からない、③入ってから迷う、の3つに切り分けられます。LINEとエルメで手伝えるのは、主に②と③を、来店前に写真と順番で伝えることです。あいさつメッセージ、テンプレート、リッチメニューを組み合わせ、友だち追加の時期に合わせて置き場所を決めれば、電話が鳴る回数を減らせる余地があります。看板や入口の物理的な問題そのものは、LINEでは直せません。その部分は、管理会社や大家さんとの相談に分けて考えてください。
設定の細かい手順は、エルメのあいさつメッセージと自動応答の設定手順|先に決めておくことと、リッチメニューのボタンを迷わせない並べ方|情報設計の考え方と、無料プラン2つの使い分けも参考にしてください。
構築代行のご案内(30万円〜・税別)
「入口の写真は撮ったが、あいさつメッセージ・テンプレート・リッチメニューをどう組むか決めきれない」「自店の予約の流れに合わせて設計してほしい」という場合は、構築代行も承っています。ヒアリングから設計、設定、テストまで、お店の状況に合わせて進めます。詳しくは構築代行のご案内をご覧ください。